劇場公開日 2017年1月21日

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「なぜキリスト教は日本で弾圧されたのか…」沈黙 サイレンス 777さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0なぜキリスト教は日本で弾圧されたのか…

2025年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

まず2つ、断りを入れる
1つ…これは小説を原作にしたフィクションであり、実在する者がいる
実話ではない
2つ…上記の様にフィクションであり、江戸時代の隠れキリシタンの
日本人に、英語が流ちょうに喋れる者が多いのも、創作
この2つ目の断りは、英語の台詞が多いのも、制作会社がアメリカ
というだけでなく、世界で一番使用されている言語は英語であり、
アメリカと日本のみならず、世界の多くの人々に「日本のキリスト教徒
への迫害の歴史」を、多く知ってもらいたい意図がある
映画を論ずるにも、2つの大きな論点がある
1つ…なぜ過去の隠れキリシタンは「踏み絵」という、キリストを模した
像や絵を踏まず、苦しい拷問を受け処刑されたのか?
今でこそ「『踏み絵』はイエス・キリストその者ではなく、そんな物は
踏んでいい」というのが常識だが、それは歴史の後日に作られた
信仰の考えであり当時は、そうでなかった
イエス・キリスト本人も、欧州で自分の信仰を広めている当時、
自分の死後に千年以上経って極東アジアの島国で、自分を模した
「踏み絵」を踏むのを拒んだら処刑されるなど、想定もしていない
よって、映画に登場する欧州の若い神父2人も「踏み絵」を見て、
それを「踏んでいい」「踏んではいけない」と、意見が分かれたのも、
当時の彼等にとって、それは想定外の物であったから…
それどころか、現代の日本のキリシタンにも「過去に『踏み絵』を
踏まずに処刑された奴等は馬鹿」と言う輩が出る始末…
2つ…なぜ過去に日本は激しくキリスト教を拒絶したのか?
日本の「八百万(やおよろず)の神々を祀る」という太陽、木、水、
自分が踏んでいる土にも「神は宿る」との精神で「目に見える物、
全てが神」であるというのが信仰で、キリスト教の様に「イエス様こそ
唯一無二の絶対神」という、目に見えないモノを1つだけ神と認識する
思想は八百万の精神からは、かけ離れていた…
私は、長く日本史の授業を学校で受けたが、この「八百万の神」と
「唯一無二の絶対神」の事を、教師から教わった記憶が無い…
その当時の宗教観のギャップこそ、何故に日本で大きな宗教弾圧が
あった事の絶対的な事実であるのに…
この映画は、キリスト教・仏教・無教徒などの枠を外し、多くの人々に
観てもらいたい
日本は、よく賽銭箱に10円玉を投げて多くの願いを要求する
「自販機型・宗教」とも言われる
少し例えとしては飛躍するが、2024年1月1日の「能登大地震」を
思い出していただきたい… 元日という、日本で一番おめでたい
日に、災害は容赦なく襲ってくる…
そろそろ「自販機型・宗教」からは脱し、今一度「神」とは何か…
そして「神の御加護」とは何かというのを、総括する時期に来ている
かもしれない…

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