「沼地で守る。」沈黙 サイレンス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
沼地で守る。
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常にグレーゾーンを這い回ってると気高い行為が居た堪れなく感じる。
窪塚演じるキチジローの狡猾さ(弱いと見せて彼が一番強か)が生きる
術なのだとしたら、さあ皆も意を決して踏み越えてしまえ~!と何度
思ったことか。まるで本人を模した役柄の彼も素晴らしかったのだが
浅野やイッセー(まぁ堪能すぎて小憎らしくて)そして荒波に磔される
塚本の演技が心に刺さる。おかしな日本人が出てこないのはさすがだ。
冒頭で棄教したとされるフェレイラだが、あの弾圧を目にしてすぐに
信者たちの命を守るためなのだと直感する。強い信念があるからこそ
自身に課せられた業を見定められただろうと。彼を慕い日本へ渡った
ロドリゴもガルぺも同様に民を救おうと尽力する。信仰を保ったまま
生活も守りたい信者を当時の幕府は激しく拒絶し次々と抹殺していく。
何ともはや3時間弱辛い場面ばかりの本作なのだが、後半フェレイラ
が棄教の事実を告げたあたりからロドリゴの苦悩と葛藤が更に色濃く
描かれてゆき物語は佳境を迎える。彼らの終生まで描き切ったことで
何を云わんとしていたのかが(グレーながらも)如実に見えてくるのは
素晴らしい。強さを語る者ほど弱くて弱みを見せる者ほど強かなのだ。
(沼地とはピッタリな形容。泥土が生き恥を掬いながら根を太くする)
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