「あくまで、アメリカ人から観た遠藤周作『沈黙』。」沈黙 サイレンス 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
あくまで、アメリカ人から観た遠藤周作『沈黙』。
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ロドリゴ役の心の葛藤がよかった。フェレイラに対する態度も、じつにその時々の感情が出ていた。
贅沢なほど日本人俳優を端役で使う豪華さ。映像もよし。二時間半をを越す長さも感じなかった。
だけど、やはりどこか物足りない。
一つには、たとえ井上が元キリシタンであったとしても、あそこまでしゃべれるものか?(しかも、米映画という都合上、ポルトガル語じゃなくて英語なのが余計悩ませる)
また、武士はあんなに笑ったりしないということ。特に井上は、原作でも表情がないとなっているくらい、読めないはずなのだ。(にこやかでいいのは通辞くらいのはずで、それがあとで叱責のシーンで活きるのだが)
キチジローの、物語からの去り方も解せない。
ロドリゴの最期も、「心から棄教はしなかった」と言いたいのだろうが、それは「匂わすもの」で、十字架を見せて観客にネタバレしてはいけないと思うのだがどうか。そここそ監督は”沈黙”し(せめて何かを握っているような拳であるとか)、観客自身をロドリゴの悩んだ自問と同じような心理に誘うほうが、効果的だったのでは。
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