「熱量」沈黙 サイレンス モアナさんの映画レビュー(感想・評価)
熱量
スコセッシ監督が、ずーっとつくりたかった作品。
その熱量が、本当に、細部から、全ての質感やセンスから伝わってくるものになっています。
音のセンスがまた、本当に秀逸です。無駄に音楽をつかいません。
原作を読んでいないので、原作ファンの方の持つ違和感はわかりませんが、信仰があるないに関わらず、また洋画邦画と意識せずに見られる大作です。
162分と長いですが、これは描くのにはそれくらい必要だと納得。
他の方も書かれていますが、【外国から見た日本の描き方】の違和感は感じません。日本人キャストの力もあますところなく出されていると思います。
どちらかと言うと二枚目担当なイメージのある窪塚君が演じる姿は、もう何枚も脱皮したような印象です。(色々経験されて昔とは違うのかな)
信仰と、目の前の信徒を救うこととの矛盾。迷いや苦しみの中、神の福音(声)を求め続け、絶望し、彼が一番拒んでいたことを受け入れるその瞬間に、神の存在を感じる矛盾。
原作を読んでみたいと思いました。
かつて日本においてもこんなにも信仰で苦しんだ人々がいたことー歴史の知識でしか知らなかったことが立体的に、重さと苦しさ、胸の痛みの実感をもって、知る機会になりました。
観るのに受け止める気力が必要ですが、それに値する作品だと感じます。
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