劇場公開日 2017年1月21日

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「「ラスト・プリースト」なわけで」沈黙 サイレンス Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「ラスト・プリースト」なわけで

2017年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

重厚で厳かな圧倒的な画力。ブラックアウトで始まり、ブラックアウトで終わる。そこには自然音だけが響いている。"神"は一貫して沈黙したままだ。エンドロールの余韻が深い。

カトリック信者であり、キリスト教文学を多く残した遠藤周作だからこそ、生来のクリスチャン(=マーティン・スコセッシ)による映像化は待望といえるかもしれない。ただひたすらにスコセッシの原作への想いが強く迫ってくる。

キチジローは"ユダ"だし、ロドリゴは"イエス"、井上筑後守は"ローマ総督"なわけで、クリスチャンに刺さる内容ながら、一方で宗教的な解釈を持たず、単なる歴史映画として観ることもできる。日本人による日本語で書かれた原作なわけだから、自由な解釈で観てかまわないはず。エンターテイメント性はゼロだが・・・。

「ラストサムライ」(2003)ならぬ、「ラスト・プリースト」である。"日本人って何なのか"をガイコクジン目線で語られるとドキッとする。そんな映画のひとつになる。"大自然"に神を見い出し、"絶対神"ではなく、キリストを自己都合の解釈で消化してしまう日本文化の土壌を客観的に指摘していたりして。

カトリック信者には評価が分かれる原作だが、字幕をカトリック・イエズス会司祭で上智大学文学部教授の川村信三氏に監修依頼しているので、しっかりと考証のバックグラウンドは押さえられている。

ホントは茶化しちゃいけないとは思いつつも、宣教師フェレイラ役のリーアム・ニーソンは"クワイ=ガン・ジン"だし。悩む司祭仲間のアダム・ドライバーは"カイロ・レン"だし。そうなるとフェレイラを"師"と仰ぐ、アンドリュー・ガーフィールドが長髪を後で縛っている姿がユアン・マクレガーに見えてくる(笑)。すみません。

(2017/1/21/TOHOシネマズ日本橋/シネスコ/字幕:松浦美奈/翻訳監修:川村信三)

Naguy