「弱さと強さはコインの裏表かもしれない」沈黙 サイレンス ヤマザマンさんの映画レビュー(感想・評価)
弱さと強さはコインの裏表かもしれない
約400年近く前の日本の九州が舞台であるが、単なる信仰を扱う映画としてでなく人間の内面を見つめる映画としてよく出来ている。スコセッシ監督は映像ドラマとしてしっかり作っている。特に誰しも好きではない拷問場面は苦痛を感じるが、これも考えるためのツールとして割り切るしかない。
テーマは宣教者のような高い理想を目指す人間だとしても、やはり逆境のなかでは完全とはなり得ないことを示している。この映画にはヒーローはおらず、登場人物が弱さを持ち同時に強さを持つ。卑怯なやり方で人間の外面をどのように変えようとも変えられないものはある。それが信仰であったり信念だったりする。
日本人俳優はイッセイ尾形の奉行や通訳の浅野忠信はじめ多くの俳優に存在感があった。個人的には窪塚洋介のいい加減なキチジローが共鳴できた。弱さを持ちながら必死に生きている。こういった弱い人間を愛することが出来るのは神しかいないかも知れないが…。静かに人間のあり方を考えることができる至高の映画である。
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