「果たして決着はどうつくのか」最後の追跡 ララリレロさんの映画レビュー(感想・評価)
果たして決着はどうつくのか
銀行強盗の兄弟と二人を追うテキサス・レンジャーのコンビがそれぞれ背負っている人生の重みを感じさせ、魅力的です。単に善悪で片付けられないストーリー展開です。
ジェフ・ブリッジスが主演のためか、追う者の立場から「最後の追跡」と邦題がつけられていますが、内容的にはいかに逃げ切ることができるかを描いています。
銀行強盗を働くハワード兄弟が次々と事件を重ねます。彼らの行状から見えてくるのは、銀行に借金のかたとして取られた牧場を守るために、その銀行の支店を次々と襲い、その奪った金で借金を返済するという魂胆です。彼らの牧場に油田が見つかったため、何としても土地を死守しなければならないのです。
アメリカという国は自分の土地を守ることに敏感です。白人がインディアンから土地を奪い、鉄道を敷設するために牧場が買収され、今は銀行が借金のかたに奪うという構図です。
一方で、この銀行強盗を追うテキサス・レンジャーは退職間際のマーカスと相棒のアルベルトのふたりです。マーカスは口が悪く、インディアンとメキシコ人の血を引くアルベルトを小馬鹿にしてからかう尊大なところがあります。
アルベルトは白人によって土地を奪われたインディアンを祖先に持つことからマーカスの毒舌には辟易としています。
銃撃戦で兄弟の兄とレンジャーのアルベルトが命を落とします。
逃げ延びた弟トビーは借金を銀行に返済します。牧場を守った弟は離婚した元妻と息子たち二人に牧場と石油の利権を譲る手はずを整えます。
マーカスは弟に狙いを定めています。トビーもすべての片がついたため、対決のときが近いことを悟っています。双方ともに、大切な相棒を死なせた遺恨をはらす決意を固めているのです。