「これはある意味、最後の西部劇なのかもしれない」最後の追跡 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
これはある意味、最後の西部劇なのかもしれない
『ウィンド・リバー』『ボーダーライン』で知られるテイラー・シェリダンが脚本を手がけ、アカデミー賞では作品賞をはじめ4部門の候補入りを果たした秀作。日本では劇場未公開ながら、映画好きの人ならこの一本の中にどれほど西部劇の要素が組み込まれているのかが瞬時に見て取れるはずだ。
かつてのカウボーイたちが今や借金に苦しみ、貧困の連鎖をどうにか食い止めようと、その身を顧みない決断を下しゆく様に言いようのない悲哀や苦しみを感じずにいられない。白人とネイティブ・アメリカンからなる二人の保安官が交わす「かつて白人たちが奪った土地が、今度は銀行に奪われようとしている」というセリフが極めて示唆的でもあり、この絶望的なほど広大な舞台にアメリカの歴史や社会性が全て凝縮されているのも高評価の理由の一つなのだろう。強盗を繰り返す兄弟役の二人の演技が素晴らしく、彼らを追うジェフ・ブリッジスの力の抜けた演技も忘れがたい。
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