「目の前を「恐怖」が通り過ぎる感覚」ドント・ブリーズ zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)
目の前を「恐怖」が通り過ぎる感覚
盲目の退役軍人、しかも話の中盤でとんでもないサイコパス行為をはたらいていることが判明するというやつの家に強盗なんかしてしまった若者がえらい目に合う話。相手は目が見えない代わりに超人的な聴覚と嗅覚を持ち主人公たちを追い詰める。「息をするな」というタイトルの通りの緊迫感があり、多分ポスターの女と同じように手で口を覆って映画を見ていたと思うw 老人の設定が絶妙で、元軍人だけあって侵入者を仕留めるための技術と判断力を持ち合わせているし、暗闇でも戦闘力を落とすこともない一方、盲目なので以外と近くに敵がいても正確に位置が特定でいなかったり目の前を素通りしてしまったりする。逆に侵入者たる主人公達からしたら目の前をキラーマシンが通り過ぎることになる。逃げるチャンスは意外と転がっているようだが、迂闊な行動はとれない。その絶妙なバランス感が、一戸建ての家の中という狭い空間での恐怖を引き立たせていた。凶暴な番犬が終始主人公達を追い詰めるのも妙にリアルで怖い。この話のポイントは老人が単に侵入者を撃退しようとしているのではなく、事故死した娘の代わりを加害者の女に生ませようとしており、その加害者の女が死んでしまったので今度は主人公の女に産ませようとしているというとんでもないサイコパス行為をしている点なのだが、ラストに流れるニュースで「侵入者は二人」「老人は無事」「強盗の被害はなし」と語られる底知れぬおぞましさに、いかにもハリウッドにありそうな絶叫系スリラーとは違う悪寒を感じて終わるのもまた強烈。主人公の女の金に対する執着心も凄いが。助けに来た男がいうようにさっさと警察に通報してまずは身の安全を図れよと言いたくはなる。