「【”現代ドイツを過去と向き合わせるために・・”ホロコーストの中心的役割を担ったアドルフ・アイヒマン逮捕のために、孤高のドイツの検事が行った事。】」アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”現代ドイツを過去と向き合わせるために・・”ホロコーストの中心的役割を担ったアドルフ・アイヒマン逮捕のために、孤高のドイツの検事が行った事。】
ー アドルフ・アイヒマン逮捕は、近代歴史でしか知らなかったが、イスラエルのモサドが執念で逮捕し、処刑したと思っていた・・。ー
◆感想
・怖い映画である。
アイヒマン逮捕に執念を燃やすドイツ・ヘッセン州検察庁のバウアー検事長(ブルクハルト・クラウスナー)と只一人、彼の捜索に協力する若き検事アンガーマン(ロナルド・ツァフェルト)をあの手、この手で妨害してくる、元ナチス親衛隊だった連邦局長やクライトラー上級検事の姿。
ー アイヒマン逮捕により、自らが過去に犯した罪を問われるのが、恐ろしいのである。1960年当時、ナチス残党が東西ドイツの要職に多数存在していた事が分かる。ー
・執念で、アイヒマンがブエノスアイレスにいる事を突き止め、バウアー検事長がモサドの高官イサーと会うシーン。”もう一つの証拠が欲しい・・。”
ー アイヒマンは、ブエノスアイレスでのインタビューで、抜け抜けと”私は、搬出係だっただけだ・・”と述べている。ー
・TVの討論会で、ドイツの若者達と、意見を交わすバウアー検事長。”真に民主的国家を作りたい。そのためには、若者の力が必要だ”
ー 翌日の反響。花束が届いたり、激励の言葉もある中、ハーケンクロイツのマークのある布に包まれた弾丸。ー
・漸く、アイヒマンは捕獲されるが、バウアー検事長が望んだ、ドイツでの裁判ではなくイスラエルでの裁判を受ける。旧ナチス残党の企みにより。
更に、アンガーマンはハニートラップに引っ掛かり、自ら自首する。
ー 意気揚々と現れた元ナチス親衛隊だったクライトラー上級検事の握手を拒否し、言い放った言葉。ー
<全編に流れる印象的な、哀調を帯びたジャズの音色がサスペンスフルなタッチで描かれるアイヒマン逮捕の真実の物語を彩っている。
アイヒマン処刑後、”ドイツ国内で過去をキチンと清算すべき”と言う気風が起こり、フランクフルト・アウシュビッツ裁判で、ドイツ人自身の手により、戦後安穏と暮らしていた元親衛隊員達は、次々と裁かれていったのである・・。
バウアー検事長の功績は、大きかったのである。>
<2017年1月頃 京都シネマにて鑑賞>
<2021年8月8日 別媒体にて再鑑賞>