「西ドイツ的1950年代」アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
西ドイツ的1950年代
『僕たちは希望という名の列車に乗った』を見ようと思っていて、ホームページを見たら、『アイヒマンを追え!』の監督の作品と知り、監督が『アイヒマン…」と『僕たちは…』は同時上映してほしいとインタビューで答えていたんです。
あれそういやちょうど京都シネマでどっちも今やってるよね、って事で、急遽『アイヒマン…』も見ることにしました。
新作公開時には邦題でスルーしてたんですが、見て良かったです。
バウアー博士の相棒?みたくなったカール役の人、『あの日のように、抱きしめて』で、ユダヤ人の妻をナチスに密告した夫役の人らしいです。気づいたわけじゃないけど。
そして『僕たちは…』にも主要人物の父親役として出ています。
1950年代のドイツ(多分西ドイツ)でも同性愛行為は刑罰の対象なんですね。キリスト教文化では明確に悪として罰してきたんですね。
バウアー博士もカールも結婚してるけどゲイだから、博士は妻と別居してるし、カールは妻とのセックスはなるべく避けたい。結婚、せざるを得なかったんだろうね。
元ナチスの人が、過去を隠してなのか、堂々となのかは分からなかったけど、戦後西ドイツの要職にたくさんいて、ナチス戦犯の戦争責任追及に心血を注ぐバウアー博士は目の上のたんこぶ。
「ドイツの若い世代なら可能なはずだ。過去の歴史と真実を知っても克服できる。しかしそれは、彼らの親世代には難しいことなのだ」とバウアー博士は映画冒頭のテレビ番組で語ります。
この言葉は今の日本にとって、重要な示唆だと思います。
受け入れない人が多いだろう事が残念でなりませんが。
イスラエルのモサドにアイヒマンの情報を渡すことが、国家反逆罪になる理由が無知な私にはわかりませんでした。
ドイツは戦後分断され、世界中からナチスの所業を責められました。が、過去の過ちをきちんと受け止めて復興し、偉いねって(偉そうに)思ってたけれど、その歩みは当然ながらでこぼこ道で、命がけだったんだなと、感じました。
話は飛びますが、カールが裏切られたバーの美女が、男の子だって私ハニートラップが露呈するまでわかりませんでした。あれー?カール、女子もいける口?とか思ってました。あのバーの美女は男の子だったんですね。
つか、他の店員さん明らかな女装子さんとかおったのに、気づけよってねぇ。
いやーえらい胸の薄い女の子って思ってて。
ダメだねあたし、ね。
知らなかった事実を学べてよかったって事と、
バウアー博士もカールも切ないねって気持ちと、
アウシュビッツ裁判についても知りたくなった、
です。