「もっと死神にさえなってくれれば…」BLEACH サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと死神にさえなってくれれば…
満を持しての登場、BLEACHの実写映画。ルキアが一護に死神の力を渡してからルキアが尸魂界にかえるまでを描いた「死神代行篇」。多分尸魂界篇もやってくれるだろう。むしろ剣劇が増えるそっちの方が楽しみである。
さて、漫画原作の実写映画は公開前から叩かれることが多い。最近だとハガレンが記憶に新しいが、そんな前評判をぶち壊してそこそこの評価を得ていた。ここ最近の実写映画はクオリティを上げていると個人的には思っており、BLEACHにはとても強い期待を寄せていた。何より、原作が大好きだ。
で、評価だが…序盤中盤終盤にわけて評価したい。それぞれの星は5、2、4だ。中盤が長い中だるみになっているので全体の星は低めの2.5。
序盤。序盤はかなりよかった。一護と黒崎一家の再現度の高さたるや。嬉しくて仕方がなかった。そしてルキアと出会い、死神となって虚を斬る。期待を超えてものすごくかっこよかった。見に来てよかったと心の底から楽しかった。「職業 高校生:死神!」も最高。雰囲気もいい。
そこから高校での日常パートとなるが、これもBLEACHの雰囲気を押さえていて素晴らしい。チャドのはまり役には思わず笑ってしまった。それくらい良い!
次に中盤。これが酷かった。クソ邦画によくみられる展開、「きちんと物事を説明しない」せいでルキアと一護がただただ仲悪くするし、ルキアが身勝手なクズにさえ思えてくる。要所要所で大事なドラマを入れてはいるのだが、それよりももっと一護の死神姿を見たかった。地味なトレーニングシーンが多くて退屈なのだ。
そして終盤。中盤で積んだドラマがついに実る。グランドフィッシャーとの激闘、石田との共闘、恋次との死闘。白夜に勝てなかったのはまさに原作通り。白夜の格を見せつけてくれた、いいシーンだった。
ただ、中盤の白夜が人間を見下す感じ悪い奴として描かれていたので、そんなのが活躍しても正直あまり面白くない。一護と恋次の勝負も、恋次が車を投げつけてとどめを刺そうとしたところがちょっと。そもそもグランドフィッシャーとの戦いも防戦一方だったし、要所要所で小さな不満が残る。
物語の改変は良い改変として機能していたと思う。石田がしかけた勝負が完全にご破算になっていたのはお笑いどころだが、話の軸を一護とルキアに絞ってストーリーをピックアップしていたのはうまい。ラストも原作ファンには意外性があってよいとも思った。
序盤と終盤だけ見ればかなりの良作。しかし中盤に長い中だるみがあるので、ちょっとしたクソ実写映画といったところだろう。本当に、再現度やアクションが良かっただけに残念。コスプレ感もないし。続編に期待したい。