劇場公開日 2018年7月20日

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「原作再現率は高い」BLEACH よもぎさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作再現率は高い

2018年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

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紛争地域に足を踏み入れるが如くハンパ無い地雷臭が漂う本作ですが、意外にも原作の雰囲気の再現という点では中々良い作品でした。
特に久保帯人節溢れるギャグシーンは挿入タイミング・演出・役者さんの演技等々素晴らしく、客席のあちこちから時折笑いを堪え切れずに噴き出す声が聞こえました。
ストーリー自体は代行編の主要なキャラを全員出しつつ、2時間でなんとか一区切りつけるために頑張って切り貼りしており、ラストは評判が良ければ尸魂界編に繋げる事も出来、悪ければこれで終わってもまぁ一応大丈夫と言える、どちらにも分岐出来るようにしてあります。
キャラクターの演技も一部を除いて再現率が高く、特に父親・一心は完全再現と言って良い程に漫画の雰囲気そのまんまでした。
遊子・夏梨・グランドフィッシャーの元霊の幼女3人組もかわゆい。正直この幼女3人観れただけで入場料の1800円は償却出来たと思う。

逆に再現率の低い一部の筆頭はやはりルキアですね。
ルキアの古めかしい喋り方が上手く発音出来ておらず、舌を噛みそうな滑舌の悪い台詞が続きます。現代では中々使う事のない言葉ばかりでしょうけど、もうちょっと頑張って欲しかったですね。もののけ姫のキャラクターくらい自然に『そなたは~』とか喋ってくれればこの作品自体の評価が底上げされる可能性すらあります。

ビジュアル面では虚のCGは十分観れるレベル。ハリウッドの大作やシン・ゴジラと比べるとやはりCG感がキツいですが、これ以上はまぁ拘りの域かと思います。
死神の衣装は正直キツいですね。完全にコスプレです。ほぼ黒装束だけの一護とルキアはまだマシですが、変な髪形とオプションが付いてる白哉と恋次はかなりキツい。この二者がアップで映るシーンでは思わず目を背けるくらいです。

肝心のアクションシーンに関しては実写版るろうに剣心がかなり迫力あるハイスピードアクションを演じていたので、実写での超人アクションのクオリティもかなり上がっているのだと思いますが、本作のアクションはあまりスピード感は無いですね。
基本的には個別且つ分割したシーンの切り貼りで、『一護が叫びながら振りかぶるシーンのアップ』→『相手に斬魄刀が当たる』→『相手が吹っ飛ぶ』→『相手が振りかぶるシーンのアップ』という感じで、1アクションごとに撮って繋げたんだろうなというバトルがほとんどでした。対峙する二者が両方とも一画面に収まって高速で攻防を演じるというのは殆ど無いですね。
まぁ原作のバトルシーンも大体そんな描写なので原作再現してるとも言えますし、迫力は中々ありました。クライマックスの白哉戦は圧倒的なオサレ力(ぢから)を発揮していましたね。
ただ、バトルシーン・ギャグシーンは勢いがあるので良いのですが、シリアスな会話シーンは上記の通り滑舌の悪いルキアが喋るシーンが多い事もあって少々退屈です。
まぁ該当シーンはそう長くはないので、幼女3人を拝んでチケット代の減価償却を済ませられる人ならギャグシーンと幾らかのアクションシーンで十分満足度黒字に出来る内容だと思います。

もし尸魂界編をやるとしたら、内容的に登場人物の殆どがキワモノな外見をしているので衣装のクオリティというか、少々改変してでも実写で違和感の無いデザインに落とし込まないと、観るに耐えないコスプレ大運動会になりかねないですね。

よもぎ