「あえて禁じ手に挑んだ意欲作!」GODZILLA 怪獣惑星 映像ゆるゆりすとさんの映画レビュー(感想・評価)
あえて禁じ手に挑んだ意欲作!
今回のアニメ版「GODZILLA」は、「新しい可能性の開拓」として従来のシリーズでは禁じ手とされてきた表現に挑んでいる。
ひとつは、メインの舞台が都市破壊のカタルシスが望めない、原生林という設定。
もうひとつは、巨大さと重厚感あふれる「怪獣」の質感を苦手とする、アニメーションという手法そのものだ。
しかし、そうした禁じ手は一方で、この手法ならではの「ゴジラ好きが見たかった」シーンを可能にしている。
それが「○○○」だ。
この「○○○」のカタルシスは、舞台を原生林に選ぶことで可能になったとも言える。
そして肝心のゴジラの重量感は、正直60%ぐらいの満足度かな?と思っていたら、その不満が一気に解消される場面もある。
いわば「禁じ手」に手を出した不安は、これまでなかった「○○○」と“その場面”によって解消され、SF世界でゴジラを描く新たな可能性を開くことにつながっていく。
「この作品が3部作の序章である」ことが周知されていないことで生じる観客側の不満や、主人公の性格描写など、いろいろ難点がある映画であることは事実だ。
しかし今後のゴジラは、ハリウッドがスペクタクル・バトル・キャラクター路線を極め、一方の日本では「シン・ゴジラ」が怪獣シミュレーションとしての究極型を実現した今、ゴジラ映画は新たな可能性に挑まない限り、また袋小路に入ってしまうのは間違いない。
そんななかゴジラの禁じ手に挑み、新たなる可能性を見いだそうとしている今回の挑戦は十分評価したいし、「序章だから、あとでレンタルでいいや」と思わずに、劇場ならではの大スクリーンとすさまじい音響のド迫力で、「新・ゴジラ」を体感して欲しい。(ネタバレ完全版レビューはouchi-cinema.com/godzilla20171119)