「【認知症気味の老人が、アウシュビッツの悲劇を清算するために行った事。ラストのどんでん返しには刮目する作品である。】」手紙は憶えている NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【認知症気味の老人が、アウシュビッツの悲劇を清算するために行った事。ラストのどんでん返しには刮目する作品である。】
■妻の死も忘れるほど物忘れが進んだ老人・ゼヴ(クリストファー・プラマー)。
ある日、彼は友人のマックス(マーティン・ランドー)から手紙を託される。
ゼヴとマックスはアウシュヴィッツ収容所の生存者で、家族をナチス兵に殺されていた。今も生存しているというその兵士に復讐すべく、ゼヴは一人で旅立つ。
◆感想
・認知症をテーマとした映画は、近年盛んに公開されているが、今作の認知症を患った男と
元アウシュヴィッツ収容所の生存者であったゼヴとルディ・コランダーを演じた独逸の名優ブルーノ・ガンツが交わすラストシーンは余りに切ない。
<戦争犯罪を扱った映画はあれど、そこに認知症を組み込んだ映画の作風には、哀しくも唸らされた作品である。
今や、クリストファー・プラマーも、ブルーノ・ガンツも故人になってしまったが、今作を支えているのは、お二人の抑制した演技である。
戦争は、人類にとって何ら豊かさを齎すものではなく、哀しき想いを残すだけである事を描いた映画である。>
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