「認知症老人の復讐劇」手紙は憶えている 鯨さんの映画レビュー(感想・評価)
認知症老人の復讐劇
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ゼブは認知症である。
起きるたびに亡くなった妻の名前を呼び、今自分がいるところがどこか分からなくなるほどの。
老人ホームにはアウシュビッツ時代の同志マックスがおり、マックスとゼブの家族を殺し、ユダヤ人の名を借りて生き延びている元ナチスの男ルディ・コランダーを探すために旅に出る。
マックスはホームから出られないために、司令塔として4人の候補者をどのようなルートで会いにいくかをゼブに手紙として託す。
ゼブは認知症なので、ことあるごとに記憶をなくし、その度に妻を呼ぶ最初に戻ってしまう。
それをルディ・コランダー探しに引き戻すのがこの手紙なのだ。
認知症の老人が4人の候補を一人一人あたっていくのだが、徘徊老人の行方不明者として捜索願が出されている上、銃を携帯しているため、国境越えや警察と関わるタイミングでいつ見つかるのかとヒヤヒヤする。
そもそも90歳のご老体では歩き方も話し方もよぼよぼとして落ち着かない。
ラストのストーリー展開については、ラスト5分の衝撃!となっていたので、ある程度予想がついたが、認知症とは進行するとここまで人間を変えるのかと少しだけ怖くなった。
復讐劇ではあるが淡々と、美しいピアノの音色と進んでいき、認知症でもピアノはおぼつかなく弾けるんだなぁ、アウシュビッツにいたはずなのにこんなにうまくなるほどピアノを習えるもんなのかな、と違和感を持ったのが最初だったが、最後までどういう展開をして終わらせてくれるのか楽しみではあった。
邦題が手紙は覚えている、だが、実際にはrememberだけなので、また邦題ダサいマジックだなぁと思いながらも、手紙がこの話の鍵にはなっているので仕方ないのかもしれない。
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