手紙は憶えているのレビュー・感想・評価
全113件中、1~20件目を表示
魅力的なドラマの間に「記憶」の重みを巧みに挟み込む
おじいちゃんと拳銃。それは映画人なら一度は描いてみたいとビジュアルであろう。本作はアウシュヴィッツの生存者が復讐の相手を探し求めるというプロットをロードムービーへと展開させる。そこで鍵となるのが「記憶」。認知症に冒された彼がリマインダーとして手首に「手紙を読め」と記すのは非常に賢いやり方だが、同時に悲しい皮肉でもある。なぜなら、すぐ同じ腕には囚人番号が焼き付いているのだから。忘れたくても忘れられない記憶があり、忘れたくないのに忘れる記憶もある。そして本作は結末にて、記憶のさらにもう一つの側面を伝えてくれるのだが、ここでは書くまい。ミステリーとしても十分に面白いが、「サウンド・オブ・ミュージック」でナチスの手より逃れていくトラップ大佐役のプラマーが主演するなどキャスティングも秀逸。「スウィート・ヒアアフター」や「アララトの聖母」のアドム・エゴヤンが「記憶」を語るとまた特殊な響きを持つのは言うまでもない。
エゴやん版「ゆきゆきて神軍」
アトム・エゴヤン監督が描くナチスハンターの復讐劇、なのだが、このハンターが90歳の老人で、アルツハイマーで記憶すら定かでないというのがポイント。クリストファー・プラマー扮するアウシュビッツの生き残りは、家族を殺した収容所の責任者が名前を変えて潜伏していると知り、老人ホームを抜け出して探索の旅に出るのだ。
なにぶんご高齢なので復讐者である本人がなにかとおぼつかないのが本作の面白さ。あまりにも危なっかしい素人暗殺者の道行きに「おじいちゃん、がんばれ」と声援を送りたくなる。狙う仇には候補者が四人いるのだが、これまた同じくらいご高齢なわけで、盲執に憑かれた老人が寝たきりの老人を襲撃する姿は原一男の「ゆきゆきて神軍」がダブった。
ネタバレを避けたいのでオチの話はできないが、この映画のキモはオチよりも過程にあると思う。どのシーンもブラックなコントとしてみごとに機能していて、同時にスリリングでこわい。テーマはシリアスでヘビーだが、とにかくべらぼうに面白いスリラーとして楽しんだ。
すごい展開
話題になっていたので気になってはいたが、どんでん返しの映画だとは知らなくてびっくりした。
ナチスの映画ばかり見ている期間で、たまたま今月末までの配信&ナチス映画&人気だったので見た。
ホロコーストを受けていたという過去があるおじいちゃん2人が、当時自分の家族を殺した特定のナチ党を探し出して復讐するお話。
実行役の主人公のおじいちゃんは認知症で、もう1人が手紙や電話で指示を出すという役割。
同姓同名の4人に会う。
1人目はナチ党ではあったがホロコーストには関わっていない者。
2人目は同性愛者で迫害にあった者。アウシュヴィッツにいた、という話で勘違いして銃で撃ちそうになったが、腕にある囚人番号で判明。少し泣けた。
3人目はナチス軍の料理人で既に死亡していた。息子は警察官だが親の意志を受け継いで(?)ユダヤ人差別主義者。
ちなみにブレイキング・バッドのハンク。嫌な役!
ユダヤ人ってことがバレて犬に噛み殺されそうになったとこ怖かった。ドイツの犬怖くないか?「ブラジルから来た少年」でもドイツの犬怖かった。ピッドブルばっかり。
4人目はついに、、。
出来すぎた展開だけど、映画としてはけっこう面白かった。
出演者はおじいちゃんだらけだけど、実際まだ戦争経験者いるんだもんなぁ。ドイツの戦争犯罪者も他国に逃げて未だに捕まえられていない人もいるそう。上の世代を引き継いで悲惨な歴史を繰り返しませんように🙏と警告してるような映画でした。
老人の静かな復讐劇
老人の静かな復讐劇。タイトルやパッケージからはふんわり系のお話かと思いきや、後味は悪かった。
この映画で考えさせられたことは2つある。
ひとつめは、「私が歴史に対して無知だった」こと。
劇中「アウシュビッツ強制収容所」「クリスタルナハト(水晶の夜)」といった用語が出てきてたが、恥ずかしながら私は詳しく知らなかった。観賞中に軽く調べて、収容所や水晶の夜で大量のユダヤ人が虐殺されていたことを知る。犠牲者の数は何百万と、ふだんのニュースで目にすることがない数字で驚いた。ユダヤ人虐殺の経緯や背景の歴史が気になったので、深堀りして知識をつけたい。
ふたつめは、「重い罪の意識はいくつになっても消えない」こと。
ゼブと老人たちが犯した罪は大量殺人なので、たしかに重い。でも、90歳近くになってまで罪悪感に縛られるものだろうか。さすがに晩年になってまで復讐に拘る必要はないんじゃないかな。ゼブが元収容所の老人を殺すのはやりすぎ。
「あなた人殺しなの?」老人が罪を告白し本名を名乗った時に、家族が驚いてドン引きしてたから老人がかわいそうだった。銃で脅され勇気を出して告白したのに。
もし私の祖父母が戦犯だと告白してきても、私は許せる。
残念だった点も2つある。
ひとつめは、「90歳の認知症とは思えない行動力」だ。
まず、90歳で1日中あちこち遠出したりする体力はないと思う。
それから、認知症のわりに思い出すのが早い。寝て起きたら記憶が飛ぶけど、手紙みたり周りの助言で次の行動を把握するのが手際よすぎる。果てには銃をぶっ放して殺人まで。そもそもあんな老人に平気で銃を売っちゃうのが不思議だ。
90歳で認知症、これを聞いたときヨボヨボで常に物忘れしているような老人を想像したけど違った。
ふたつめな、「救いようのないラスト」。
なにもゼブまで死ぬ必要なかった。まさか自殺して2人とも死亡エンドとは...せめてゼブだけは生きると思ったのだけれど。結局は黒幕のじいさんが復讐を果たして勝ちだったね。良い思いしたのは黒幕のじいさんだけ。
「復讐は正義」みたいな安っぽいメッセージだけが心に残って残念だった。
全体的には暗く決してハッピーな話ではない。
しかし、この映画は歴史に興味を持たせてくれたので感謝している。ナチスドイツやユダヤ人といったキーワードはよく映画で耳にするので、勉強しといて損はない。今後の映画鑑賞のためにも、世界大戦の歴史を勉強することにした。
なにかしら罪を抱えて生きている人は多いだろう。罪を告白されたとき、私は許してやれる人間
になりたい。。タイトルやパッケージからはふんわり系のお話かと思いきや、後味は悪かった。
この映画で考えさせられたことは2つある。
ひとつめは、「私が歴史に対して無知だった」こと。
劇中「アウシュビッツ強制収容所」「クリスタルナハト(水晶の夜)」といった用語が出てきてたが、恥ずかしながら私は詳しく知らなかった。観賞中に軽く調べて、収容所や水晶の夜で大量のユダヤ人が虐殺されていたことを知る。犠牲者の数は何百万と、ふだんのニュースで目にすることがない数字で驚いた。ユダヤ人虐殺の経緯や背景の歴史が気になったので、深堀りして知識をつけたい。
ふたつめは、「重い罪の意識はいくつになっても消えない」こと。
ゼブと老人たちが犯した罪は大量殺人なので、たしかに重い。でも、90歳近くになってまで罪悪感に縛られるものだろうか。さすがに晩年になってまで復讐に拘る必要はないんじゃないかな。ゼブが元収容所の老人を殺すのはやりすぎ。
「あなた人殺しなの?」老人が罪を告白し本名を名乗った時に、家族が驚いてドン引きしてたから老人がかわいそうだった。銃で脅され勇気を出して告白したのに。
もし私の祖父母が戦犯だと告白してきても、私は許せる。
残念だった点も2つある。
ひとつめは、「90歳の認知症とは思えない行動力」だ。
まず、90歳で1日中あちこち遠出したりする体力はないと思う。
それから、認知症のわりに思い出すのが早い。寝て起きたら記憶が飛ぶけど、手紙みたり周りの助言で次の行動を把握するのが手際よすぎる。果てには銃をぶっ放して殺人まで。そもそもあんな老人に平気で銃を売っちゃうのが不思議だ。
90歳で認知症、これを聞いたときヨボヨボで常に物忘れしているような老人を想像したけど違った。
ふたつめな、「救いようのないラスト」。
なにもゼブまで死ぬ必要なかった。まさか自殺して2人とも死亡エンドとは...せめてゼブだけは生きると思ったのだけれど。結局は黒幕のじいさんが復讐を果たして勝ちだったね。良い思いしたのは黒幕のじいさんだけ。
「復讐は正義」みたいな安っぽいメッセージだけが心に残って残念だった。
全体的には暗く決してハッピーな話ではない。
しかし、この映画は歴史に興味を持たせてくれたので感謝している。ナチスドイツやユダヤ人といったキーワードはよく映画で耳にするので、勉強しといて損はない。今後の映画鑑賞のためにも、世界大戦の歴史を勉強することにした。
なにかしら罪を抱えて生きている人は多いだろう。罪を告白されたとき、私は許してやれる人間
になりたい。
カポと言う役職がある。 最初から話のオチ(不謹慎、勘弁して)がそこ...
カポと言う役職がある。
最初から話のオチ(不謹慎、勘弁して)がそこにあると思っていたので、三人目から結末は分かってしまった。しかし、今見終わって、演出家の経歴を見るとその理由が分かった。
アルメニア出身でエジプトに亡命してカナダに現在いるって、どう言ったアイデンティティを持った人物かと言う思いがある。しかし、単純なナショナリズムやナチス批判や反ユダヤ主義ではないと思う。
なお、カポと言うのは、囚人によるブロック責任者で、戦後モサドからナチス同様に粛清の対象になっている。
『夜と霧』をそうやって差別する者すらいる。
さて、日本は『ゆきゆきて、神軍』だけで良いのだろうか?寧ろ、『ゆきゆきて、神軍』だけに留まっているので、日本に於けるナチズムが温存されてしまっている可能性があるんじゃないだろうか?
【認知症気味の老人が、アウシュビッツの悲劇を清算するために行った事。ラストのどんでん返しには刮目する作品である。】
■妻の死も忘れるほど物忘れが進んだ老人・ゼヴ(クリストファー・プラマー)。
ある日、彼は友人のマックス(マーティン・ランドー)から手紙を託される。
ゼヴとマックスはアウシュヴィッツ収容所の生存者で、家族をナチス兵に殺されていた。今も生存しているというその兵士に復讐すべく、ゼヴは一人で旅立つ。
◆感想
・認知症をテーマとした映画は、近年盛んに公開されているが、今作の認知症を患った男と
元アウシュヴィッツ収容所の生存者であったゼヴとルディ・コランダーを演じた独逸の名優ブルーノ・ガンツが交わすラストシーンは余りに切ない。
<戦争犯罪を扱った映画はあれど、そこに認知症を組み込んだ映画の作風には、哀しくも唸らされた作品である。
今や、クリストファー・プラマーも、ブルーノ・ガンツも故人になってしまったが、今作を支えているのは、お二人の抑制した演技である。
戦争は、人類にとって何ら豊かさを齎すものではなく、哀しき想いを残すだけである事を描いた映画である。>
☆☆☆☆ 日本題名の『手紙は憶えている』は、分かり易さでは間違いで...
☆☆☆☆
日本題名の『手紙は憶えている』は、分かり易さでは間違いでは無いんですが。映画を観終えると「ちょっと違うかな?」…と。
原題は【remember】なんですが。これが映画を観終わって、帰宅途中で色々と考えていると、ジワジワと効いて来る題名なんですよね〜(´-`).。oO
早い話が、これは殺し屋のロードムービーなんですが。主人公の殺し屋は、クリストファー・プラマー演じる90歳のボケ老人。
だから手足は覚束ず、記憶も直ぐに無くなってしまう。
まさに、こんな殺し屋は前代未聞なのであります。
他にも、ネオナチ男が態度か急変する辺り。
…まあ、これ以上はネタバレになってしまうので止めておきましょう。
最後のオチがすこし強引な面は有るものの、確実に入場料を損する事は無いと思いますね。
※ ネットでネタバレされる前に、是非お早目に劇場へ行かれると宜しくか…と。
兎に角、日常に潜む暴力が怖い。
多少ネタバレしても大丈夫かな?ってところで言えば。先ず街中で普通に拳銃が買えてしまい。店員が…
「ちょっと値は張るけど(殺傷能力が高いから)確実に殺せるよ!」
…と言ったり。
警備員が拳銃を見て…
「俺が最初に持っていた奴だ!」
…だもの、、、
これ、年間のベスト10に入って然るべきだと思いましたね。
いや〜!ゾクゾクしたわ〜( ;´Д`A
2016年11月3日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ/スクリーン2
※ 最近話題の、某◯カ◯ミ◯賞ノミネート作品が似ているとの情報が有ったのですが、、、真意は未見なので分かりません。
あらすじは読まずに観ることをおすすめします
騙された。もしかして、グッドマン自身が責任者だったりしない?って思ったけど番号もあるしちゃうかなとか思いきやまさかの逃げるためだったとは…
マックスがなぜゼヴに依頼したか(自分でやらずに)何か裏がありそうやなと思いきや、敵討ちのためやったのね。マックスは待ち望んでいたやろうな。ゼヴは忘れてたんやなくて忘れたかったんやろう。
何年経っても恨みは消えない。あのナチ崇拝者みたいなやつもきっとまだ世界にはたくさんおるんやろうな。ゾッとする。
驚きのクライマックス
アウシュビッツで家族を殺されたという老人の復讐劇。容疑者4人を手がかりを元に訪ねていく。
驚愕のラスト5分と映画の紹介に書かれていた、
見始めて数十分後、オチを想像した。
でも、全く違っていた。
どんなふうにこの老人は生きてきたのか。
想像するのは簡単ではない。
話は面白い
詳しくはネタバレになってしまうので言わないが、
宣伝でもいってるように、どんでん返しが
そう来たかというところで面白い。
しかし観終わった後に何らかの心が揺れるような
感動があったかと問われると
それはあまりない。
全編に流れる緊張感と構成を楽しむ作品。
見た事のないタイプの映画。監督の才能を感じる。
ストリーは極めてシンプルなれどグイグイと画面に引き込まれる演出と演者の演技の迫力もあって、終止最後まで飽きる事がない。演出の緩急は見事でありこれぞ映画と言う作品に仕上がっている。監督の作家性を強く感じる事が出来、他の作品も見たい欲求に駆られる。作品としては勿論上質である。万人にお勧めできるレベル。
アウシュヴィッツものだけどそこまで重くない
主要な登場人物が皆ご高齢で、逆に新鮮だったし面白かった。ストーリーもわかりやすく、すっと入っていける。道中いちいち危なっかしくてハラハラさせられる、ゼヴの演技がよい。最後の展開は予想できなかった。してやられたりという感じ。アウシュヴィッツものにしてはそこまで重くないし本編も95分と比較的気軽に楽しめる作品かなと思う。
アウシュビッツ関連映画の中でトップクラスの出来ではないか?
オチには驚かされた。これだけ内容の濃い話を95分に纏めたのには感服するし、主演のChristpher Plummerの演技がなんと言っても素晴らしい。撮影当時84歳で90歳の主人公の役をやったわけだが、妻を亡くしたばかりの認知症の老人を実に見事に演じている。ナチ信奉者のアメリカ人の犬の名前がEva とは。アウシュビッツ関連の映画は数々観たが、トップクラスの出来だと思う。また、滅多に感じることはないがこの映画に関しては邦題の付け方が素晴らしいと思った。
どうにもならない昔の過ち
復讐。
時代が時代なわけで、当事者たちも上の命令で動いていただけ。
でも実際起きてしまったことは取り消せない。
被害者側は憶えている。
現代になってその人間たちに復讐を犯す。
そんな両者に複雑な気持ちになった。
様々な角度で考えると恐い
このお歳で拳銃、そして復讐がまずは衝撃的です!途中で、ラストが見えてしまうのでそこが残念ですが、でもやはりラストは衝撃的です。
認知症になるまで復讐を待っていたのかな…とか、この歳になっても復讐は終わらないなど様々な角度で考えると恐いです。
ホロコーストとサスペンス
物忘れがひどいゼブは友人マックスの手紙を頼りに、家族を殺したナチスへの復讐へと旅立つ。
おじいちゃんということでおぼつかない感じがハラハラ感を増している。
認知症が故に自分自身がナチスの一員だったという展開には驚いた。
旅の中で、ユダヤ人だけでなくドイツの同性愛者もホロコーストの対象であったこと。未だにナチスを崇拝する人もいたりと学ぶことがあった。
オトシマエ
人間の記憶がいちばん難解な迷宮。
設定からどうしてもメメントを意識しながら見ちゃったんだけど、予想の斜め上をいくオチが衝撃だった。
…んだけど、認知症って若い時の記憶は残るんじゃなかったっけ?もしかして彼は全く気に留めてなかったってことなんだろうか。
いやでも州警察の家ではあんなことになったしなあ。
って感じで、ちょっと腑に落ちない。
まあね、オトシマエはきっちりつけようぜっていう。
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