「この国の女は誰一人として、自由を使いこなせていない」アンチポルノ mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
この国の女は誰一人として、自由を使いこなせていない
園子温という名前が飛び込んできたので、何の予備知識もなく、とりあえず、日本映画専門チャンネルにて録画して見ました。
「園子温なんだから普通じゃないだろう」と思って見たものの、予想外の衝撃的映像で、ストーリーを理解するのは無理でした。
アートなのか?文学なのか?哲学なのか?前衛演劇なのか?
京子の心象風景(潜在意識や抑圧やトラウマなど)を描いたら、あのような表現になったのか?
映像はビビッドで原色を使ったインテリアで固められ、売女(ばいた)という言葉がひつこいぐらいに何度も発せられ、裸になって四つん這いになり犬となるシーンもあるが、決して、エロくはありません。
ところで、2016年11月20日で日活が生誕45周年を迎えたそうで、ロマンポルノの「リブートプロジェクト」として、「ロマンポルノ」を撮ったことのない、日本映画の人気監督5人によって、オリジナル作品が撮りおろされたらしいです。この「アンチポルノ」はその一作品。
園子温は、この企画に対して乗り気ではなかったらしく、一度は断ったとか。いきなりのオファーで「はぁ? なんで、ポルノを撮らなきゃならんのだ?」という気持ちだったのでしょう。
その経緯を知ると、映画の中のメッセージも少しだけ見えてきたような気がしました。
「ああ、だから、反ポルノとしてこの映画を作ったんだな」と。
タイトルも「アンチポルノ」
10分間に一度、濡れ場があること、上映時間は70分前後、完全オリジナル作品であること、などの条件が課されており、確かに、全部クリアーしてる……。
「この国の女は誰一人として、自由を使いこなせていない」
含蓄のあるテーマ。
女性に花を持たせた、フェミニスト色のある映画かもしれない。
途中、冨手麻妙と筒井真理子のSとMが何度か逆転するところがあるのですが、Sにおいても、Mにおいても、筒井真理子の方が格段、上でした。