「精神世界と現実と映画」アンチポルノ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
精神世界と現実と映画
日活ロマンポルノリブート企画
女流作家と女子高生と女優の入り混じったせい心の話
最近の商業目的で撮った園子温監督の作品と違って強烈な作家性と心の叫びが全編通して伝わってくる映画でした。
映画と現実とトラウマの狭間でもがく主人公は監督自身の透写だと感じた。
女優陣の演技が素晴らしく、劇中劇での入れ替わりなどしっかりしていて本当に混乱させれた。
物語自体は難解だがそれを踏まえても世界観と雰囲気と画の毒々しさ、全てが園子温だなと思った。
才能がない自信がない、いろんな劣等感を抱えながら、それをぶつけるため映画を撮ってきた園子温監督。
本人の内面から沸き上がるものの価値がわからないまま、ファンが膨れ上がり評価され、ただ求められるがままに突き進む。監督は何の寄る辺も無い世界にいるのだなと感じた。
自分は冷たい熱帯魚以降の作品に付いていけなくなってしまっていたの口だが、ドキュメンタリー「園子温といういきもの」を見て監督が人間なのだと実感した。
足掻くしもがくし、不安を抱える一人の男なのだと知れた気がする。彼はその心の内を映像に昇華できるという点で素晴らしい監督だと思う。
商業目的の映画だってそこそこ上手く撮れていると思うし、オリジナル作品には強烈な個性もある。世界の王にならなくても一国の王にはとっくになっているのだから、これからも独自の国を発展させてほしい。それが受け入れられるかそうでないかはわからないが、監督の軌跡は永遠に残るし、影響を与え続けるだろう。
劇中セリフより
「出口をくれ」
暗中模索を繰り返す、上手くいかないくても進むしかない
誰しも出口を探している、自身の中にあるのか外にあるのか。
それすらわからない自分はここで燻るしかないのかもと思った。
まずは進む道を探さねば・・・