劇場公開日 2017年2月11日

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「雨が上がる」ホワイトリリー フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

雨が上がる

2017年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

陶芸家の師弟が欠落した幸せを互いに補う話

ロマンポルノリブート作品集で一番最後に鑑賞

「ジムノペディに乱れる」もつまらなかったが本作もかなり面白くなかった。

評価できるのは、全裸の女性同士の絡みシーンが長めに有る事位だと思う。

美しい裸体が絡み合うのをかなり攻めた撮影で切り取っていたのだが、それ以外の点であまりにも退屈。
物語自体に興味のわく設定が盛り込まれていないため、見ていてどうでもよくなる。

冒頭のロクロを回して陶器を作る画を見た瞬間に「ゴースト」的なカットをやりたいのだなと察知してしまう。
案の定、似たようなカットが映るので大分テンションが下がった。
作家性が問われるであろうこの企画でそんな見え透いたオマージュに何の意味があるのか、ただやりたかっただけかも知れない。

物語は主人公の思いと師匠の思いがすれ違い、男の登場で完全に関係が崩れてしまう。
結果、互いの傷のなめ合い的関係から、対等な関係へ、そして巣立ち、のような展開。
感情移入の隙もないまま、勝手に自立していい話風にまとめられているので、はっきり言って何も感じないまま映画が終わってしまった。

リブートの企画は面白いと思うが、もっと監督の枠を増やして互いに刺激し合うような流れにしてもらいたい。
ただルールの乗っ取ってつまらない映画を撮るだけでは、せっかく復活した企画がもったいないと思った。

劇中セリフより

「雨が上がりましたね」

心に降っていた雨を晴らすにはどうすればいいのか。

自分なりの決着の着け方で心を開放するには、挑戦、復讐、反省、様々あるが、前に進むには逃げずに立ち向かうしかないのかも知れない。でなければ、心の雨は上がらないだろう。

フリント