胸騒ぎのシチリアのレビュー・感想・評価
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メイド・イン・ヨーロッパがここにある。
「ミラノ、愛に生きる」でミラノに住む富豪に嫁いだロシア人妻という封印されたキャラクターを、自身のミューズ、ティルダ・スウィントンに与えたルカ・グァダニーノ監督。今作では、声を失い、若い恋人と共にシチリアで隠遁生活を送るロックスターという、これまた危険な境遇をセッティングし、予想通り、突如島にやって来た元恋人の吸引力によって、華やかだったロックエイジに引き戻されるヒロインの、あの種の崩壊を描いて艶っぽいことこの上ない。誰もが知っているいかにもなシチリアではなく、野生の自然に同化したようなコテージやレストラン、スウィントンが纏う通好みなラフ・シモンズ等、風景や衣装にも上級のデカダンを感じさせるメイド・イン・ヨーロッパがここにある。
独特なテンポとカット割りで 行き過ぎた大人の恋を描く
ルカ・グァダニーノ監督作品ということと、シチリアが舞台の大人の恋愛劇ということで期待マックスで鑑賞。本監督の「君の名前で僕を呼んで」が個人的には大好きな作品で、その他作品も観あさっているのだが、以降なかなか期待通りの作品に当たらない。
そんな中、本作は冒頭から独特なテンポとカット割りがとても印象的で期待は高まる。きれいな景色も良いし、シーンを選ばず常に明るい音楽も小気味良い。そしてレイフ・ファインズのぶっ飛びキャラや独りダンスもただただ笑えるし、ダコタ・ジョンソンの気だるいキラキラ感もかなりヤバくて二重丸。
しかし、後半にかけてにわかに不穏な空気が漂い始め…。何だか共感できるようなできないような、結局本作も全体を通して観ると微妙な感じに。
だんだん本監督の趣向がみえてきた気がする。
ところで最後のペンの涙の訳は?
『太陽が知っている』リメイク
ダコタ・ジョンソンが好きで、アラン・ドロン主演フランス映画のリメイク、脚本も面白そう、って事で観ました。
タイトル似てるけど『太陽がいっぱい』ではなく『太陽が知っている』のリメイク。
コッチを観てから原作も観たけどコッチの方がいい、良リメイクだと思う。
アレンジで、けっこう変えてあって…
舞台は、フランスのサントロペからイタリアのシチリアへ。
ティルダ・スウィントン演じるマリアンは喋れない設定ですが、原作では普通に喋ってます。
けっこう裸が多いけど、原作は少しだけ、コッチの方がセクシャルになってます。
エロさだけでなく、オシャレさも、コッチの方が上がってて、
イタリアはシチリアの、インスタみたいなオシャレで美しい画が、延々と続きます。
これが、ため息が出るぐらいオシャレで美しく、何でもないような細い路地さえも、本当にオシャレ♪
シチリアを旅行してる気分になれます。
観たい!と、そそられた邦題も好きで、
シチリアの夏の陽射しの下、男女4人の関係が狂いはじめ…
この内容に、ピッタリ!
3.5と4の間で、厳しめ3.5。
70~75点ぐらい。
そうだ シチリア、行こう。
Emotional Rescue
パンテッレーリア島で年下の恋人ポールと過ごす声を失ったロックシンガーのマリアン。そこへ昔の恋人ハリーが娘ペンをひき連れてやって来た。マリアンに復縁を迫るハリー。ポールを誘惑するペン。ラスト以外は結構よかったし本気で胸騒ぎの作品。「太陽は知っている」は観ていないけどリメイクということにも胸騒ぎ。
ストーリーはさほどでもないけど、凝ったカメラワークに胸騒ぎ。二大女優に胸騒ぎ。カッコいいティルダスウィントン。スターの高級感。瞳がキレイなダコタジョンソン、カラダ、表情、セクシーさ。
ヘビに胸騒ぎ。
ローリングストーンズ。
なんだよこれで終わりなのかよ、な、終わりかたにモヤる。
大人の心理ドラマ
喉の手術をして年下の恋人と一緒に療養しているロックスターの所へ、元恋人が娘を伴ってやって来る。始めはコメディかなって観ていてると
ちょっと違う。
後半はシリアスな展開に。
元彼は必死で復縁を迫るけど、無理だし。
主人公が今彼に満足してるのはわかるので。
レイフ・ファインズが珍しく弾けたキャラを
演じてて面白い。
リメイク?
グァダニーノだからフィルムとティルダ・スウィントンは完璧に美しいのだけれど、ちょっと複雑すぎるゆえ途中で眠くなってしまいました。「太陽がいっぱい」のオリジナルを鑑賞したのが昔で色々と忘れてしまっているせいなのか、リメイクとは気がつきませんでした。
想像と違った
胸騒ぎのシチリアというタイトルにポスターヴィジュアルにイタリアの離島て起こる夏っぽい人間ドラマかなと思ってたら少し違いました。
まずずっとティルダウィンストンがロックスター設定なのに違和感。これはマドンナみたいなミュージシャンなのですかね。マティアスかっこいい、レイフファインズはいつもと雰囲気違って面白かったです。
ストーリーも面白くもなくつまらなくもなく。元となったアランドロンの太陽は知っていると比べてみようかなと思います。
音楽と風景のカットは素晴らしかったです。グァダニーノ監督のこのセンスはどの映画も私は好きなので物語がイマイチでも綺麗なもん見れたからまあいいかって気持ちになります。
片面6曲のレコードみたいな恋
イタリアという国は、日本人以上に欧米の人にとって「天国に近い国」のイメージがあるのか、イタリアで休暇を過ごす映画は後を絶たない。キャサリン・ヘップバーンの「旅情」もダイアン・レインの「トスカーナの休日」などを例に挙げるまでもなく。
今回も、声帯の手術を受けたばかりの大御所女性ロックシンガーが、6年間交際している恋人とシチリア島で休暇を過ごす。そこへ昔の恋人とその娘がやって来たことによって、物語が大きく動き出していく、というのが大筋。象徴的に映し出されるのは彼らが宿泊しているコテージについているプールで、彼らは目の前に大きな海があるにも関わらずそのプールでいつも泳いでいる。原題は「A Bigger Splash」。海の波しぶきより大きなうねりがこのプールで今まさに起ころうとしている予兆を感じさせる。
前半部分はややたるい気もする。声帯手術をしたティルダ・スウィントンはほぼ口がきけない状態だし、唯一映画に活気を加えられるのがレイフ・ファインズだけだ。まるでラテン系のような陽気さとワイルドさでファインズは常にハイテンションの演技を見せる。少し前ならケヴィン・クラインが上手に演じていたような役柄だけれど、さすがは実力派だけあって、ファインズも意外と悪くない。
中盤にさしかかってやっと物語に変動が起こり、そこから物語がサスペンスへと傾いていく。4人の登場人物の間に張り巡らされた情熱の糸がいつしか「事件」を引き起こす必然を思わせる緊張感は、冒頭からサスペンスフルだった。
しかし実際に事件が起きてからの展開が逆にサスペンスの緊張感を削ぐような気配で、なんとなく盛り上がりに欠けたというか、深みに欠けたという気がしてしまった。物語の着地点も、なんとなくすっきりしない感じで。
部分部分ではとてもいい点もあって、例えば22歳の娘ペンが、マリアンが6年ずつ交際した2人の恋人のことを「片面6曲のレコードみたいね」と喩えるシーン。なんて気の利いた娘だ!と思ってしまう。そのうえ「それぞれ名曲が1曲ずつあるんでしょ?」なんて付け足してしまうセンス。こういうさり気ない機知も魅力的な映画だった。
そしてとにかくティルダ・スウィントンが美しかった。シチリア島の美しい海に、スウィントンの凛々しいショートカット、白いスカートが風に膨らむなんて、美しすぎて本当に見惚れてしまった。
「ミラノ、愛に生きる」がとても好きだったので期待した部分もあったが、今回はそこまでではなかった。けれど、ルカ・グァダニーノ監督が映すティルダ・スウィントンの美しさは信用できる。
ひと昔前のセレブたちの変な話
『リゾート地でイチャイチャするセレブカップルを観たい』という謎の動機で鑑賞した本作。
シチリアの荒涼としていながらお洒落な雰囲気と、マリアンとポールのラブラブイチャイチャはなかなか良かったです。
登場人物たちはみな古い上流階級って雰囲気で、それも20世紀っぽくてノスタルジック。マリアンは明らかに80年代くらいのクラッシックロックスターですよね。40歳以下のファンはいなそう。
しかし…全体的に見ると、『何なんだこの映画⁈』という感想。
探り合うような関係性ばかりが終始描かれるため、登場人物のパーソナリティーがハリー以外イマイチよくわからない。まだマリアンはポールへの愛を貫くなど、芯の強さが伝わってきますが、その愛される対象であるポールはどんな人なのかちょっと捉えきれなかった。欲望ばかりが渦巻くこの作品の中で、マリアンとポールの関係だけが唯一地に足がついているので、ポールの描写不足は問題があると感じました。
ペンは…なんか書割みたいだな、という印象。だが、それが彼女の虚無とか寄る辺なさを浮き上がらせているのかもしれない。監督はそんな演出狙ってないとは思いますが。
ハリーの死から物語がハデになり、サスペンスっぽさが出てきますが、警察のズサンな捜査にゲンナリ。
容疑者にならずに逃げ切れて、ホッとするポールとマリアンというラストにも「マジか!それでいいのか⁈」と感じました。しかも罪を移民に押し付けるというヤバさ…この辺の無神経さは現代的です。このエンディングには目ん玉飛び出ますね。
ボロクソ言ってますが、この映画の良さはマリアンを演じるティルダ・スウィントンをはじめ、俳優が大変魅力的なところ。そこは楽しめました。また、風景をはじめ画がとても美しい。
正直、面白くもなんともない映画でしたが、ちょっとした佳作よりもこの作品の方が記憶に残る。映画において、映像の美しさは凄まじい説得力を持っているな、と改めて思った次第です。
そして主題歌がなんとストーンズのエモレス。エモレスですよ、エモレス!
ハリーがエモレスで踊ったり、3回くらいエモレスが流れるのも静かにマッドな感じです。でもこの映画、恐るべきことにエモレスが持っているのなんとも言えない奇怪な雰囲気にピッタリなんですよね。
ハリーがストーンズの共同プロデューサーだったり、エモレスのLPが重要な小道具として使われるなど、結構なストーンズ映画で、ストーンズファンとしてはちょっぴりニヤニヤ。
この映画の絶妙にダサいセレブ感(悪口ではないが、さほどポジティブな意味でもない)は、ミック・ジャガーのセンスと一部相通じるものがあるように感じます。
物語の中では、ハリーはストーンズのヴードゥー・ラウンジを共同プロデュースしたことになっている。その時のことを想像すると…ミックとは上手くやれただろうが、キース・リチャーズ大先生には『やかましい猿め、黙れ!』とか罵られていただろうね。
総括すると、豪華なバカ映画と言ったとこでしょうか。はっきり言って最低ランクの映画でしたが、とても印象に残る作品。
怪作でした。
胸騒ぎ
153本目。
面倒臭い奴が来て、自分が面倒臭い奴とは知らずに面倒臭いを引き起こして、結局面倒臭い奴だから、そうなるよなって映画。
胸騒ぎすらしない。
邦題タイトルがセンスないと思う。
それにあの女の人、好みもあるけどどうかな?
太陽が知っている
アラン・ドロン主演『太陽が知っている』のリメイク。
ポール役:アラン・ドロン→マティアス・スーナールツ
マリアン役:ロミー・シュナイダー→ティルダ・スウィントン
ハリー役:モーリス・ロネ→レイフ・ファインズ
ペン役:ジェーン・バーキン→ダコタ・ジョンソン
というキャスティング。
古い作品とリメイク作を比べてアレコレ言うのは野暮だと分かっているけど、『太陽〜』めちゃくちゃ好きな映画なんで、どうしても比べてしまうなあ。(全く同じに作るのは意味ないわけで、色々変えてこそのリメイクだとは思うんですが…。)
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『太陽が知っている』、冷静に考えてみればすごくヘンな話で。
暗くて仕事もたいしてなくてアルコール依存で、しかも犯罪者で、若い女の子にフラフラしているような、冷静に考えたら絶対にダメな男ポールのことを、最終的に女は選ぶというあらすじ。そんなヘンな話だが、ポール役をアラン・ドロンが演じてるから許せるというか、マイナス点がすべてプラスになってしまうような魅力がある。
『太陽〜』はポール中心だが、『胸騒ぎのシチリア』はマリアン中心の映画になっており(『ミラノ、愛に生きる』の監督だから、そうだろうなあと観る前から予想はしてたけど)。マリアン役ティルダ・スウィントンも美しくて、こういう描き方も需要あるんだろうなあとは思うけれども。
個人的には、今回ポール役のマティアス・スーナールツを、もうちょっと際立たせた演出でも良かったんじゃないの?と思う(マティアスのファンなので、すみません)。
アラン・ドロンがプラスマイナスを引っくり返す魅力があったように、マティアス・スーナールツもそういう魅力あるのになあ、残念だなあと。
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リメイクするにあたって、ポールとハリーの水泳合戦とか、ペンの白いトップスから透ける乳首など、名場面はそのままだが、変わってる部分も。一番違うなあと思ったのは、『太陽〜』の方は、マリアンがほんとは誰が好きなのか?とか、ポールとペンが二人きりで何してたのか?とか、はっきりとは描かれてなくて謎めいている。ミステリアスだから面白いんだけど。『胸騒ぎのシチリア』の方は、明け透けで分かりやすい。
明け透けだなあ、ハリキリすぎだなあと思ったのは
まずペンの「全裸でカモン」。こんな分かりやすいエロ設定必要か?ダコタ・ジョンソンがどうしたって17歳には見えない。さすがメラニー・グリフィス&ドン・ジョンソンの血をひいてるだけのことはある堂々とした感じ。マミーポルノ『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の時は、なんだかウブなお嬢さんだとすら思ったのになあ。旧作ジェーン・バーキンの中性的な色気とは対極だなあと思った。
ハリー役も、あんなにはしゃぐ必要あったのか?旧作モーリス・ロネの、落ち着きとお茶目が同居した感じ、軽薄で酷薄で不遜な感じがすっごく良かったんだけども。今回のレイフ・ファインズも、めちゃくちゃ好きな俳優さんなんで期待してたんだけどなあ。何か方向が違ってたなあ。これは、あくまで個人的な好みの問題なんで、こういうレイフ・ファインズも魅力的と思われる方も、たくさんいらっしゃると思います。
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愚痴っぽい感想を長々書いてしまったけど、イタリアの風の吹かせ方とか、とってもカッコ良くて、楽しい映画でもあったなあと思う。
探り合い
面倒臭い繋がりの4人の男女、仲が良い様でみんながみんな腹の探り合い。なんか色々みえているけれどなかなか話が進まず面倒臭い。
それでいて最後はあっさりだし、それがダメっていう訳ではないけどそんなアホなというチョイ透かし。みている人間の腹の内も探られているのかという感じ。
ペンが小生意気で可愛い(笑)
2016/11/02、映画ランドさんで当選した試写会で鑑賞。
世界的ロックスターのヒロイン、優しいけれど物足りない年下の今彼と、強引でエネルギッシュな元彼、元彼の娘、の四人の間のドラマ。
わたしは、この元彼の強引さはまったく受け付けないので、圧倒的に今彼派です。
警察は、ヒロインにサインもらってる暇があったら、真面目に捜査してください!
視線を追う視線。
「今、あの娘の太ももをチラ見したな。」女は男の視線を逃しません。絶対。
本当は◯◯なんじゃないのか??
疑惑の念は、一度転がりだすと雪だるま式にどんどん大きくなっていき、そこにジェラシーも相俟って、心理の読み合いはどんどんエスカレート。
ペンを台風の目とした渦に飲み込まれていきます。
ちょっとしたカットの積み重ねが素晴らしく
あ。今の仕草を見て、彼女はこう疑ったな。
あ。今の雰囲気から、彼はこう疑ってるな。
と、それぞれの登場人物の心理が手に取るようにわかります。
それなのに!!
本当のところはどうなのか?の確証をちっとも見せてくれない。
(ㆀ˘・з・˘) うう〜ん。イケズ。
モヤモヤしながら観ていると、ある事件が起きてしまう。
担当の刑事の見た目はダメダメだけど、実はコロンボばりの切れ者なのかもしれない。。。
ここでも転がり出した深読みが加速していき、止まりません。
でも、疑心暗鬼になっていたから執拗に思えていた行為も
蓋を開ければ、てんで的外れだったりするもので…(笑)
ラストのペンは抱きしめてあげたくなります。
ん?あれ?もしかして、そこがテーマの映画だったのか!
いやはや。監督にマンマとしてやられました〜(>_<)
登場人物達の視線を追っているつもりの観客は、実は監督に巧みに視線を誘導されていて、登場人物本人達よりも疑心暗鬼になっているのかもしれません。
そういえば、彼が太ももを“直接見ている”カットは無かったような気がしてきました…
太もものアップ→彼の顔→彼女の顔。
もしかして、太ももをチラ見していると思ったのは、彼女ではなく私自身だったのか??(゚д゚lll)
でも、あの男の顔は太もも見てた顔ですよね?
少なくとも、あの女の方は疑ってましたよね?
ねえ?そうですよね?監督ぅ〜〜! >_<
監督の満足気な顔が見えるようです。
どうりで、確証を見せてくれないわけだ!
もう一度、最初から見返したい作品です。
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