「みんな殺されちゃえばいいのに」無垢の祈り KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
みんな殺されちゃえばいいのに
アップリンク凱旋上映、最終日にやっと鑑賞。
終始すごい圧迫感と閉塞感に襲われ、最後のトークショーがかなり面白かったので救われたけどトークがなかったら家にも帰れなくなりそうなくらい引きずるとと思う。
父親に対する嫌悪はもう冒頭からものすごいんだけど、新興宗教にハマり時にフミに八つ当たる母親にも怒りが湧いてくる。
ペディキュア塗られた足を切れ!のくだりはもうどうしようもない感覚になった。
性的虐待シーンの演出には鳥肌立った。
等身大の操り人形の不気味さ、人形に愛撫する父親の圧倒的な気持ち悪さと恐怖、フミの目線、重低音のBGM、全部一度に私に襲いかかってきて凄まじかった。
ただそんな救いようのないシーンが続く中、トークで原作の平山先生も言っていたけどフミが自転車を漕いでいくところが良かった。
誰も助けてくれない、救済の無い中で自転車を漕ぐ姿に唯一彼女の自我と心の叫びが現れていた気がした。
殺人犯のシーン、突然の激グロにびっくりしたけどリアルでドキドキした。
解体し終えたあとに吐いたのにはちょっと笑った。
吐くくらいならやるなよ!笑
でも殺人犯目線の描写は一切なく、それがまた不気味だった。
世界に絶望し、諦めたフミがアイタイって、最後に救いを求めるのが猟奇殺人犯だって悲しすぎるけど理解できる。
最後のシーン、よく都合よく殺人犯が現れたな!とは思うけど素晴らしかった。
殺してくださいと泣き叫ぶフミと何も言わず笑う殺人犯で切られて終わる、
私は殺人犯とフミが出会った時点で救いだと思うし、しかも父親も殺してくれて本当ありがとうございますと言いたい。
最後フミが死んだか生きてるかはわからないしその後どうなったかもわからないけど、私にとっての救いはあったので良かった。
時系列をいじっていたり、観客の捉え方に任せた描写なども多いとのことで初見で最終日に観たことを少し後悔している。
フミ役の子役ちゃんの演技は凄かったけど、監督によると現場でちゃんとフォローしていたり本番以外は楽しく遊んだりしていたようで少し安心笑
また未読だった原作本を買ったのでこちらもすぐに読みたいと思う。
2017.9.6 アップリンクにて再び鑑賞、追記
時系列の件わりと理解できたかも。
骨なしチキンが死刑になったとのニュースをバックに、眼帯の女性が首吊りを図る、その姿をフミが見つめるシーンがかなり印象的。
監督曰くこの女性については我々の考えに任せるとのこと。
ラストで父親に目を潰されているので、私は彼女は大きくなったフミなのかなと思っている。
そうなると前回私が感じた救いがまた失われるんだけど…