「嫌なことが起こりまくる“絶望映画”の力作。」無垢の祈り バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
嫌なことが起こりまくる“絶望映画”の力作。
見ずに済ませられるなら楽だが、世の中にはそういうわけにいかない事柄があって、児童虐待を扱った本作はそういうことを目をそらさずに描いている。
かといって社会派メッセージを提示する類でもなく、まるで生態観察のように絶望の中で生きる小学生の女の子とろくでもない義父の姿が映される。正直気分がいいものではないが、“筆圧”とでも呼ぶべき凄味に身をすくめるようになりながらも見続けてしまう。
とりわけ印象的だったのが主人公の少女の声。冒頭シーンの最初の発声に、こういう娘なのかとドキリとした。
自分では気づくことができず、人から聞いた話で恐縮だが、時折、唐突にも思えるシーンがいくつか挿入されていて、実は時系列がシャッフルされていて、表向きのあらすじ以上の物語がちりばめられているという。言われてみれば合点がいくことが多く、これはもう一度見直さねばなるまい。ハードな体験だけに覚悟が必要だけれども。
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