「久々の胸糞悪い映画!そしてその先に。」無垢の祈り まえじーさんの映画レビュー(感想・評価)
久々の胸糞悪い映画!そしてその先に。
【総じて思ったこと】
私はこの映画に何を求めて観に来たのだろうと考えてしまった。
それほど途中目を背けたくなったし、実際途中は目を背けた。(理由は下に記載)
一見ぶっ飛んでいて、観た後はただ胸糞悪い映画と思うけれど、映画館を後にすると徐々に浮かぶ現実。
映画だから…という概念はなくただリアル。
こういう世界はきっと日常に一定して潜んでいると思うと、ただ気持ち悪くなったと同時に、やるせない気持ちになる。
幼少期の自分は全く知らない世界。
その世界と同時にそういう思いをしていた子がいたのかと思うと、この映画を観た甲斐があった。
しかし私にはこの映画を受け止めきれないとも思った。
【演技について】
小5少女フミを演じた福田美姫ちゃんは、この役を演じて大丈夫なのだろうかと心配になるほど。
いい意味で子役子役していないその演技はリアルさを感じさせられた。
あまりセリフはない分、佇まいとたまにボサボサヘアから覗く表情で表現しなければならない役を見事に演じていた。
あまりに感じるリアルさに目を背けたくなるほど。
BBゴローがただ気持ち悪い。
あらびき団で稲川淳二で笑いを取ってたあの人とは思えない。
※以下ネタバレ
【演出について】
殺人シーンは正直ほぼ目を背けて見ることが出来なかった。
通常の映画やドラマであれはこの時間の2割程度しか映さないであろうシーンをただただ長く映していた。
見ることはできなかったけれど、この長い時間こそが妙なリアルさを演出しているように思った。
子供への性的虐待シーン。
どういう演出をするのか、正直怖かった。
しかし、実際のシーンには模したほぼ同じサイズ感の操り人形を使っており、後ろで人形を操る黒子の女性が敢えていることで奇妙さも増している。
義父が人形に虐待しているシーンを当人のフミは傍から眺めることで客観視されていると同時に、魂が死んだ瞬間を感じた。
最後のシーンは先に人形への虐待を第三者としてフミ見た後に実際の事が起きる。
カッターの意味が私には分からなかったけど、義父の発言で「そういう意味で持っていたとは」とただ唖然とする。
ただでさえ信じられない行為に、さらに追い打ちをかける行動。
大人の超絶身勝手さにただ呆然とした。
音響はやや大きめに使われており、主人公フミが耳を塞ぐシーンのように、自分も耳を塞ぎそうになる。
工場の音や不安を煽るパーカッションは不安定の演出だけではなく、フミの心情を少しでも体感させるようにしているのではないかと感じた。
オープニングからキャストを紹介する文字が全て英語表記なのは理由があったのだろうか。
エンドロールは通常+英語表記だった。気になる。
ちなみにこの映画の世界観を和らげる手書き風フォントだった。