エルネストのレビュー・感想・評価
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これが映画製作に於けるグローバル・スタンダード!?
伝説の革命家、チェ・ゲバラと、彼の側で共に戦った日系人、フレディ前村の知られざる記録は、1ヶ月半に及んだというキューバ・ロケによって希有な説得力を持った。監督とスタッフが現地に長期滞在し、カメラをセットし、キューバ人をキャスティングし、日本人俳優もスペイン語を完璧にマスターして臨んだ映像からは、現地キューバの空気が皮膚感として伝わって来るのだ。監督、阪本順治の最大の功績は、限られた期間内に外国の分かり易い、旅行番組のような風景を背景として撮影した来たことが明白な、その他多くの日本映画にはない手間暇をかけたこと。流暢なスペイン語を駆使してキューバ人俳優たちと台頭に渡り合うオダギリジョーも含めて、映画製作に於けるグローバル・スタンダードを実践した作品として、「エルネスト」は記憶されるべき作品だ。
オダギリジョー好演
まず何より、全編に渡りスペイン語で演じきったオダギリジョーに拍手!
発音もちゃんとしてたし、相当練習したか、元から多少喋ることができたのか、お陰でそこに意識をとられること無く鑑賞。
「淡々と描き過ぎ」という評価も解らなくはないが、起伏の激しい作品ばかりが映画ではない。
もし主人公がもっと劇的な人生を歩んだのであれば、もっと早くに世に名前が出ていただろう。
戦争や革命においては、名も無き多くの戦士たちの、それぞれの小さなストーリーが沢山あって、そういうものが人知れず消えていき、やがて忘れられてしまう。
そのほんの一部、平凡な日常を送っていた若者にスポットライトを当てることで、そこに暮していた人にとって革命がいかに切実な出来事であったか、そして、そこに身を投じた若者のなかには日系人もいたという事実を通して、バックグラウンドをも越えて目指した世界というものを抽象的に描いたのではなかろうか。
人知れず消えてしまいそうな事柄に目を向けること、そこに思いを馳せること、そして想像すること、そういう積み重ねが、人の心を豊かにしてくれるのではないだろうか。
【3国3人の革命家の生き様を丁寧に描き出した作品。オダギリジョーの代表作になるであろう。】
物足りないかな
題材はいいけど中身がダメ
ぼくは石ころ
日本とキューバの合作映画だ。キューバ映画というのも珍しいので、合作ではあるが、最近観たことがあるといえば『ゾンビ革命-フアン・オブ・ザ・デッド-』くらいだ。
映画のオープニングはチェ・ゲバラが1959年にキューバの使節団として日本を訪れるシーン。「見たいところに行く」と、予定を変更して広島へと向った一行。原爆ドームや原爆資料館を訪れて、「君たちはアメリカにこんな酷い目に遭わされて、どうしてアメリカの言いなりになるんだ」と感想をもらす。また慰霊碑にある「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」の言葉に対して「なぜ主語がないんだ」と問う。もう反米の思想が突き刺さるように訴えられてくる。
1962年、キューバに医学生として留学したボリビアの日系人、フレディ前村(オダギリジョー)は入学5日目にしてキューバ危機の現実を知らされる。そして留学生たちもいきなり、銃の訓練を受けることになるのだ。もっともキューバ危機なんて史実もアメリカ主体で描かれた映画は多いけれども、キューバから見ればアメリカとソ連が勝手に牽制し合った末に起こったもので、いい迷惑だったのだと、この作品は教えてくれる。キューバ人がケネディを嫌いになるのも無理はない。フィデル・カストロにしてもミサイルを発射するわけはないので、チェ・ゲバラ同様、反核の意思を貫いている。
1964年、フレディの母国ボリビアで軍事クーデターが起こったニュースが飛び込んできた。居ても立っても居られない彼は、“革命支援隊”に加わることを決意する。奨学金をもらっているので簡単には退学することはできなかったが、インターンの資格を取り、ゲバラから直接司令官室に呼ばれる。そこで戦地での戦士名エルネスト・メディコを与えられるのだ。戦地では決して本名を語らず戦士名で呼び合う。本名を語るのは死を覚悟したときだけなのだ。
フレディの伝記映画として作られたものではあるが、むしろ淡々と描かれているために、むしろメインではないチェ・ゲバラを浮き上がらせてような気がする。フレディが処刑されるのは幼なじみの弟によってという皮肉もあるが、これは脚色なのだろう。そのおかげで米主導で軍事政権を樹立したボリビアの悲哀が伝わってくる。
知られざる一人の人物
夢想の為に
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと共闘した日系人、フレディ前村を描く実話ドラマ。
あのチェ・ゲバラの近くに、彼からファースト・ネームが与えられるほどの日系人が居た事は全く知らなかった。
歴史の逸話はまだまだ知らない事ばかり。
阪本順治監督の世代にとってチェ・ゲバラはカリスマ的な存在なのだろう。
監督作で初めて実在の人物を題材にし、製作に数年費やし、思い入れや意気込みのほどが窺い知れる。
しかし、全然世代じゃない者にとって、時代背景やチェ・ゲバラがどんなにカリスマ的な人物なのか、いまいちピンと来ない。
自分にとっては歴史上最も有名な革命戦士の一人に過ぎず、それは他のチェ・ゲバラ映画も然り、本作も然り。
単に自分が、興味惹かれないか歴史に疎いか、なのだが。
小難しそうな政治的ドラマではなく、フレディ前村の青春ドラマ風として描かれているのは見易かった。
ただ、本当に展開は淡々。エピソードを並べ立ててるにしか思えず、話に引き込まれるとは言い難い。エンタメ性とかじゃなく、もっとメリハリが欲しかった。
フレディが何故ゲリラ活動に身を投じていく様になったかとか、チェ・ゲバラのカリスマ性に惹かれたかとか、フレディの最期とか、そういう話の流れや設定ではあっても深みや重みに欠けた。
オダギリジョーの熱演は見事。
流暢なスペイン語をマスター、体重も絞り、抑えた中にも熱い意志や闘志を体現、賞賛モノ。
作品的にはまあまあだったが、幾つかの逸話を知れただけでも一見の価値はあった。
フレディ前村の事、チェ・ゲバラとフレディ前村の事、そして冒頭のチェ・ゲバラの広島訪問は印象深かった。
革命戦士の夢想は、平和への祈り。
祖国の為に命を
誰目線?
予告編を見た感じでは、チェ・ゲバラと共に革命を戦った闘志あふれる日系人がキューバにいたという話なのかと思ったが、全然違う。
主人公のフレディ前村は日系ボリビア人で、祖国ボリビアを医学で良くしようと志す、真面目で誠実な正義漢の医学生。留学先のキューバで、祖国が軍事政権下で人々が苦しめられていると知り、キューバ軍に入る。
オバマ氏の広島来訪でチェ・ゲバラが1959年に広島を訪れていたことがフィーチャーされたが、そのエピソードを使ってチェ・ゲバラの意思を表現している。
多くはフレディ前村のモノローグなのに、友人達が「フレディは何を考えている?」「そもそも俺たちはフレディを理解していたのか?」と言ったりして破綻している部分あり。
オダギリジョーはアメリカ留学の経験があるはずだけど、全編スペイン語、しかもボリビアの田舎訛りのスペイン語らしい。どのくらい上手いんだか判断不能だが、少なくともイントネーションは自然な感じ。アラフォーなのに20代のボリビア人に見えるのも凄い。
チェ・ゲバラ没後70年に彼の廟を参るラストのシーンが良い。
ernest medico..
ゲバラが訪日していた事実を知っている人は少ないのではないだろうか
慰霊碑の主語が何故ないんだ 日本はアメリカにこんなことされて何故怒らないんだ 俺が革命家でいられるのは常に怒っているからだ やるべきことなど人に聞くな、必要な時は自分の心が教えてくれる など心に響く本物の言葉があった
フレディが退学するときの決め台詞にはカッコよくて笑ってしまった
おそらく超一流の医者になれたはずが、自分の心に動かされて軍隊に入った そのような人は実はすごく多いのではないだろうか その人生はどちらも正解である
題材は良いが、映画の構成は中学校の演劇のようにそれぞれのシーンが短すぎ笑 正直映画館で寝ちゃいました笑
オダギリジョーのスペイン語の頑張り、キューバの町並みは美しかったです
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラとボリビアの戦場にへ同行したのが、カ...
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラとボリビアの戦場にへ同行したのが、カタギリジョー演じるボリビア生まれの日系2世の医学生。カタギリジョーの台詞は全部スペイン語でした。
感動したのは、ゲバラが広島を訪れる冒頭の場面。原爆死没者慰霊碑に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」に主語がないとゲバラが批判する場面。そして帰りの列車までの時間、カメラを手にひとり平和公園を再び訪れる場面。実際に撮影された写真が映されてゲバラの目が何をとらえたか思いを馳せる事ができました。
この事にマスコミは無関心。特ダネだったはずなのに。
キューバに舞台が移ってからは、淡々とボリビアで処刑されるまでのオダギリジョー扮する主人公の人生が描かれます。少年時代を演じた子役がどう見ても日系人じゃないのですが。信念を貫き通した人生であった事がわかります。
初めて知った
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