劇場公開日 2017年10月21日

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「クスクス笑いの積み重ねにジワジワ、と言うかクスクス笑いのみで押し切るその作風が結構好きでした」斉木楠雄のΨ難 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0クスクス笑いの積み重ねにジワジワ、と言うかクスクス笑いのみで押し切るその作風が結構好きでした

2017年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

良い意味で相変わらずくだらない、福田雄一監督らしい作品でしたね。
原作はよく知らないので単純に福田監督作品だから見た映画でしたが、良くも悪くも期待通り、こんな深夜ドラマのノリを全国の映画館で上映できるのは福田監督だけですよ、ホント・・・監督も凄いけどプロデューサーも凄いね。
見ても何の得にもならない、いつも通り相当くだらない映画でしたけど、このくだらなさがクセになってついつい見てしまいます。
まあ今回は福田節炸裂と言う程はじけてはいなかった印象でしたが、クスクスニヤニヤしてしまう小ネタを地味に積み重ねるこう言うタイプも嫌いではなかったです、主人公のキャラクターもあってか平坦な展開でテンポも遅めでしたが、逆にこれはこれでジワジワきて地味に面白かったですよ。

見る前の不安材料としては、福田組に果たして山崎賢人がフィットするのか、そこが一抹の不安材料だったのですが、この作品には意外と、いや絶妙にフィットしていた印象で、おかげで彼への興味も少し湧いてきました(正直今まで人気俳優と言われてもあまりピンと来なかったので)
感情を表に出さず、ほぼ心の声でナレーションするあの平坦な感じと、周りのおかしなキャラクター達が繰り出す騒動ぶりが、いい感じにマッチしていましたね。
しかし今が旬の山崎賢人や橋本環奈の自虐ネタをこれでもかと放り込んでくる福田監督・・・さすがです、それに応えた役者側もまた見事。

まあでもこの映画は、山崎賢人も勿論良かったですが何と言っても橋本環奈ですよね、照橋心美と言うキャラクターへの成りきりぶり、原作は読んでなくても、漫画そのもののような演技を見せてくれるから、その画が想像できるぐらい、ほぼ漫画でしたもんね、コメディエンヌとして完全開花か、「銀魂」の彼女も良かったけど、そこから更にレベルアップ、逆に今後が心配になるぐらい、顔芸も含めて素晴らしい演技だったと思いました。
心の醜さが顔に出た時に、何故か菊地亜美っぽく見えたのは気のせいか?(←菊地さんスイマセン)
自意識過剰な勘違い美少女に付き纏われる斉木楠雄の図だけで最後まで乗り切ってしまうこのグダグダ感は少々好みが分かれそうですが、変に感動方面に持っていかずギャグ映画に徹した作風は個人的には評価したいですね。

しかし超能力者も何かといろいろ大変そうだなぁ、そんな悩みはちょっとだけ伝わってきましたが、アメコミ映画のようにはならず、都合良く進むのが逆に面白かった、楠雄の両親の天然感もまた良かったですね、あの親じゃなかったらきっとアメコミ映画や亜人のようになっていたはず!
それとクラスメイトの愉快でおかしな仲間達も皆最高でした、特におっさんなのに学生な新井浩文演じる燃堂力、あの飄々とした雰囲気とケツアゴが好きだったなぁ、あと出番はちょっとだけでも二朗さんは二朗さんらしい存在感を見せるところがある意味さすがでした。
ホント見る人によっては全く持ってクズみたいな映画だったと思いますが、私はくだらなくて好きでしたよ。

スペランカー