「ストーリーを映像化出来ていないのが残念」ブレードランナー 2049 yuu1138さんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーを映像化出来ていないのが残念
前作の大ファンなので辛口評価です。
前作をオンタイムで劇場で観ています。
続編が作られたということで、映画館では見る機会がなく、Blu-rayを購入してやっと観ました。
一見初めは前作の世界を引き継いでいるかのように感じましたが、全く前作の良さを引き継いでいなかったのでちょっと残念でした。
大筋のストーリーは良かったし、音楽も良かった。
このストーリーを映像化出来ていないと感じます。
前作は酸性雨が降る都市に大勢の人が住み、娯楽と情報が混沌としている世界、タイレル社という大企業の要塞がそびえ立ち、貧富の差が激しく厳しい世界観で行き着くとこまで来ている未来を描いているところにリアリティを感じた。
今作は、簡単に言ってしまえばTVスペシャルのために作られたんじゃないかという世界観の描き方が雑でとてもチープで、前作をなぞっただけで変わり映えなく、街に人は出てくるが個性がなくそこに息づいているように感じない。世界観を描いていないので世の中が全く把握できないし、タイレル社を買収したウォレスだったかいう人も凄くちっちゃな男で全く魅力を感じないから脅威とも思えない。主人公も、従順なレプリだからか描き方が中途半端に見えて、気持ちは分かるが、前作のロイのようなレプリなんだけど人間のように生きたいという感情が今一つぱっとしない。
レプリの感情を検査する質問等々、発想が平凡で全く面白くない。
Kの部屋、警察署、農場の部屋、海、すべてにセンスを感じない。
農夫の部屋は前作でカットされた冒頭の脚本の映像化だと分かったが、それも平凡な演出でがっかり。
最後にデッカード、はっきり言って凄く勿体無い。せっかく35年経って再び登場するのにレイチェルへの想いが全く生きていない演出で伝らない。
主人公がデッカードではないので焦点はそこでないのは分かるが、登場させるからにはもっと迫った感情をもっと観たかった。
途中からこれ未来のお話?現代劇じゃないの?と勘違いするような中途半端な世界観で前作の未来のように見えない。
レプリカントってオリオン座とかで作業して過酷な状況下で労働していたのに、溺死するのとかいろいろハテナなところがあったりして、凄くチープで陳腐で勿体無いなぁという感想です。
役者もほぼ全員下手で演技が丸わかりで魅力がない。
デザインもコスチュームや建物などもキャラクターや世界に合っていない。
この監督のこだわりが何一つ感じませんでした。
撮影もアカデミー賞受賞ということで期待したが芸術性は全く感じなかった。
唯一良かったのは、荒廃したラスベガスに初めて入っていくところは、これだよ!と思ったが、そこ以外は何も感じなかった。ドキュメントを見るとこのラスベガスはシド・ミードがデザインしたということで納得!