「ほとんど全ての人に当てはまる普遍性を持った傑作」ブレードランナー 2049 Takさんの映画レビュー(感想・評価)
ほとんど全ての人に当てはまる普遍性を持った傑作
本当に見て良かった。この映画は自分がこれから生きていく上での一つの道標を示してくれたと思っている。
予習と思って前作をDVDで観た時は「全体の雰囲気を楽しむ映画なんだな」と感じて映画にあまりのめり込めなかったが、今作は映画にとことんのめり込めた。
この映画の色んなレビューを見ていると
映画のテーマは「差別」とか「人間を人間たらしめるものは何か?」とかそういった感じのスケールが大きくてあまり共感出来ないようなものみたくなっているが、私が感じたこの映画のテーマはそれらとは違った。
この映画のテーマは「いままで自分は他人とは違う特別な存在だと信じていたが、そうではないことが分かってしまったとき、それでも自分はどう生きていくのか?」という極めて普遍性の高いことだと感じた。
映画終盤で「誰だって自分が特別な存在だと信じたいものよ」というフレイザのセリフが放たれたとき、心を滅多刺しにされた感覚がした。
確かにそうなんだ。普段言葉に出さなくても自分は他とは違う特別な存在だと信じているからこそ、色んなことを頑張れたりするのだ。
ただふとした瞬間に、「自分は特別ではないんじゃないか?」と気付く時がある。それもそうなんだ。
そういう意味でこの映画は「例えそうだとしても、自分がいま正しいと思うこと、自分がいま出来ること、そして目の前にある自分がいまこの瞬間にやるべきことを為すだけだ。」という一つの生き方を提示してくれた。
たぶんこれは監督は関わったスタッフ陣の心の叫びが映像化したものではないだろうか?
つまりは「こんな伝説の映画とか言われてるものの続編作るなんて頭おかしいよ!けどいま自分が出来ることを精一杯やるしかないんだよ!やってやるよ!」という心の叫びである。
私は20代後半のいい加減いい大人だが、心の底から「Kのように、目の前にあるやるべきことを自分の力の及ぶ限りやろう。」と思った。
上映時間の長さなのか、マーベル映画に押されているからなのか、人によって抱く感想が違うからなのかよく分からないが、散々な興業収入だという現実を受け入れることが出来ない。
マイティソーも観に行ったが、あれはあれで愉快な映画だったが内容的には段違いでブレードランナー2049の方が全然上だろ!どうなってんだ興業収入!ということを最後に叫びたい。