「人間とは」ブレードランナー 2049 ジョーカーさんの映画レビュー(感想・評価)
人間とは
初日IMAX3Dにて鑑賞。
オリジナル版は1度目にみた時はあまり感じなくて、ラストだけすげえとか思って肝心なことは何も理解してなかったというわけだが、2回目に見るとほぼ理解し、独特な世界観に完全に惹かれてしまう。しかもそれより細かいところまでこだわってるみたいでただただ圧巻だった。
そして2作目となる本作。監督は前作のリドリースコット監督からいま超絶大人気のドゥニヴィルヌーヴ監督。ドゥニ監督の作品はどれも好きで、私的にもメッセージは今年暫定ベストの映画。また、前作の主演であるハリソンフォードに加え、ララランドなどで人気を博したライアン・ゴズリング、そしてアナデアルマス、ジャレッドレトなど豪華俳優陣が集結。やはりワンカットワンカットの登場人物が濃い。贅沢感に浸れる。
さて、ストーリーだが前作から引き続き人間とレプリカントのあり方について答えのない問いを投げかけ続けるとともに様々な象徴を用いてまさに芸術と言える作品に仕上がっていると思う。さすがドゥニ監督。
まず、ワンカットワンカットがとにかく美しすぎる。どこを切り取って飾ってもオシャレになるようなシーンばかり。予告でもあるオレンジに染まった大気のなかをKが歩くシーンや前作からおなじみのネオン街は特に美しい。純粋に好き。
しかし、大衆向けとして作られている映画ではないことは事実。前作からのファンであれば世界観だけでも楽しめるが人間とレプリカントの境界線が崩れるなんていう単純な主題ではなく私も1度みただけで頭の中が混乱しっぱなし。人間一人一人、レプリカント一体一体の心情描写を他の映画と比べて過剰なほど繊細に描いているためだろう。それぞれに感情移入をし、その時の切なさだったりを体感することでかつてない感動があると思う。
そのために、まず常識を捨てなければ。レプリカント=機械という概念をなくさなければならない。かと言ってレプリカントは人間と同じでもないのだ。レプリカントの立ち位置や世界情勢とまではいかないが当時の人々の世界にのめり込まねばならない。
やはり音楽はドゥニ監督だけにかなりこだわっており、世界観に入り込みやすくできている。
全般的にみて、まずこれは現実なのか。この映画の中ではなく、自分がこの映画を見ているのが現実なのか。2049年に自分が存在するような感覚。そこにある興奮と恐怖。SF映画の大傑作である前作を見事受け継ぎ、新たな映画史に残る伝説の作品となったのではないか。
もう一度映画館でみようと思う。