「切ないラスト」ブレードランナー 2049 もりさんの映画レビュー(感想・評価)
切ないラスト
「誰もが確かな何かを探し求めてる」
作中のマダムの言葉通りのお話しでした。
主人公が自分の存在意味を探し求めて荒廃した世界を放浪します。その果てにあったのは甘い夢と残酷な現実。そして自分が何者であったのかという答え。
いろんなところに散りばめられていた伏線が、ラストで綺麗につながって、その結末から読み取れるメッセージが胸に刺さりました。
「あなたは特別なのよ」と人工知能の恋人が囁き、「特別だと思いたかったから、そう信じたのね」とレプリカントを率いるレジスタンスリーダーが宣告する。
自分は愛されて生まれてきた子供なのだ、と思いたかった主人公が、そうではなかったという事実を知り絶望する表情に、人間とレプリカントの境界線がわからなくなります。
ラストの主人公と高性能レプリカント・ラヴの存在意義をかけた戦闘から伝わってくる凄まじい自意識への執着には恐ろしさすら感じました。
「私は最上の天使だ!」レプリカントとしての誇りと共に生存しているラヴの叫びがすごかった。
彼女はきっと人間より、強く「生きて」いたんだろうなと感じました。
地上で魂の抜け殻のように生きる人間と、地下で革命を夢見て懸命に生きるレプリカント。果たしてどちらが世界を支配するべきか?
ヒトの記憶とは?存在とは??
そんな強いメッセージ性だけでも十分面白いですし、
何より映像と音楽が素晴らしかったです。
この監督の作品はまだメッセージに続いて2作しか観ていませんが重厚なSF映画を作るのが得意なのかな?
デッカードの「俺は何が本物かわかる」という言葉。本物として生きていきたい、と思います。