「ロマン メラン」ブレードランナー 2049 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
ロマン メラン
一部にマニアがいる程のカルトムービーの続編。自分もマニア程ではないが、あの世界観に嵌った口である。強烈なディストピア感、親切心など微塵も感じられないストーリーの難解さ、哲学、宗教、諦観が散りばめられているプロット・・・ 決して未来は明るくなく、難しい難問を抱えながらそれでも未だ地球は破滅していない或る意味救いようのない世界を生きざるを得ない厭世観を漂わせているのだろうと想像に難くない。
で、今回の続編だが、監督はドュニ・ビリヌーヴ、主演はライアン・ゴズリングという、今引っ張りだこの両人がどうあの世界観を引き継ぐのか、それとも全く新しい世界へ誘うのか、そこそこファンの自分としては期待不安半々で鑑賞してみた。
今回も音楽はヴァンゲリスなのかは確認していないが、あの壮麗で重厚なシンセ音は健在であった。それに引っ張られるようにストーリーは進むのだが、何となく感じる概視感・・・オチも含めて、どこかで観たことがあるような展開がハリウッド仕立ての高額な撮影で着飾れてはいるが、そこまで感動出来ずにいた自分が残念ながらいる。結論から言うと、自分でも今作品の評価はわからないというしかない。駄作ではないのだろうが、色々フィルターが掛かってしまっている為、素直に気持ちを持って行けないのが現状だ。
ライアン・ゴズリングのスケールの小ささが原因なのか、ストーリーのプロットがもっと大袈裟に演出出来なかったことが原因か(確かに人間が作った人造人間が自ら種を拡げるという方向は斬新なので膨らまし方?)、映像が大変綺麗になったせいか、雑多な世界観が却って表現不足になってしまっているのではないだろうかとか、素晴らしいところと期待はずれだったところの差がメーターを振り切る位の離れ様で、益々総することができずチグハグな気持ちがずっと続いてしまっている。確かに、原作のいうところの『電気羊』達は、新しい夢の欠片を観た奇跡に遭遇するのだが、それよりも自分の経験だと思っていた夢が、持ち上げられるだけ持ち上げられて勝手に落とされるガッカリ感に囚われる気持ちの方が共感しやすいのは、そこまで自分が高邁じゃないからだろう。
きちんと前作の踏襲というか、ギミックの断片を引き継いでいる(一角獣から木で作ったおもちゃ、ピアノ、前作でデッカードに依頼する男が折る折り紙、そしてレイチェルのコピー等々)ので、マニアック的にも楽しめるのは認めるのだが、では作品単体で観た場合、心に響く何かを訴えかけたのかといえば、答えが導けない。それに前回程難解ではなく、きちんと伏線回収はされているのは嬉しくもあり、しかし物足りなさも感じてしまうのは、皮肉か?w
これは勝手な予想だが、そこはかと感じる、次回作への伏線の匂いを嗅いでしまったのだが、どうなのだろうか?この手の作品はあまり続かない方が伝説化していいのだけどね。