「見てよかった」ちょっと今から仕事やめてくる ひよこさんの映画レビュー(感想・評価)
見てよかった
何となく見てみるかぁ〜という気持ちで見たら惹き込まれてしまった。
本当に辛い時って視野が急激に狭くなって自分では異変に気づかないし、まだまだ頑張らねばという気持ちにさえなる。
それが真面目で優しい人なら尚更だと思う。
帰路に着く青山が駅のホームでふらふらと吸い込まれるように自殺を考える瞬間なんて正にだと思う。
辛いなら仕事なんてやめても良いのに、あれこれ考え過ぎて変な価値観や不安がそれを制止して逃れたい一心から自殺を考えてしまうのだと思った。
五十嵐さんにエレベーターで罵倒されて、顔を上げた時に目から涙が落ちる瞬間の工藤阿須加の演技には鳥肌が立ったし、何度も巻き戻して見てしまった、、凄い
青山が辞表を出した時に上司や五十嵐さんに掛ける言葉は嫌味とかじゃなくて、青山自身が辛い状況から見えた心の本質だと思う。
人は自分が辛い時こそ人に厳しく酷い言動をとってしまう。
青山は心底人を信じてしまう、素直で優しすぎる人だった。
自分と向き合うのは自分だけではできなくて、人を通して自分を見つめる事が自分と向き合うという事だと思った。
双子の兄の異変に気付くことができず、助けることができなかった優。
助けることができなかった純への後悔が青山を助けることで、青山を救うはずが山本が救われていたと。
木の上から青山の部屋を見つめる山本と、山本のマネをしながら部屋の掃除をして嬉しそうに眠りにつく青山が可愛くて少し笑えた。
結構リアルな描写が多く、私にはかなり刺さる内容でした。
工藤阿須加と福士蒼汰、そして黒木華の演技がとても良い。皆ハマり役。
福士蒼汰はクヨクヨした役が多い気がするけど、この役はピッタリだと思う。
寧ろこう言うカラッとしてちょっと真面目さもある役の方が好きだし、今回の役で好きになった。
重さに爽やかのある演出。
ビルに立つ青山には太陽が当たり、語りかける山本には建物の影が伸びている演出に胸を打たれた。
山本には青山が光の中にいる一筋の光にさえ見えていたのかもしれない。