あゝ、荒野 前篇のレビュー・感想・評価
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最後の涙が静かに頬を伝う作品でした。5時間だけど、いつかもう一度また見たいな。
演者全ての方の迫真の演技、心に刺さる言葉。全てが良かった。最後になんとも言えない感情に満たされ涙が溢れました。
前半と後半合わせて5時間の超大作で少し敬遠していましたが、見終わった後納得した。一瞬一瞬の描写、時間はこの作品になくてはならないものだと感じました。
菅田将暉さんや、山田裕貴さん、ヤン・イクチュンさんの迫真に迫るボクシングシーンでは、プロのライセンス取れるくらいだとのスタッフのコメントがあったように、プロかと間違えそうになるくらい超絶な肉体と演技にも圧倒された。
健二の事をアニキと慕う新次との固い絆、関係性も上手く表現されていて、監督やスタッフの方たち、演者さんそれぞれ素晴らしいと感じた。
健二の言う本当の意味での「繋がる」とはどういう事か。
新次はその気持ちが痛いほど分かるから分かったから、受け止め、最後までその拳を降さなかった。
新次と健二の感情が痛いほど自分自身の心に迫ってくる、感情を揺さぶられる傑作だと感じました。
自殺シーンもありますが配慮してなのか血はわざと嘘っぽい色合いです。
濡れ場もありますが、それ以上に本気で真剣に演じようとする演者の演技の方に魅了されて、それがストーリーに不可欠でもあり、悪くないです。
R指定ですが、賞を受賞した意味がわかりました。
5時間ですが、またいつかもう一度観てみたいなと思う作品です。
みんな居場所が欲しかった
前後篇合わせて5時間と超大作だが、助長も物足りなさも感じず絶妙な重厚感でまとまっていた。CMを除くとテレビドラマの8話分ぐらいの長さになるので、連続ドラマもこれぐらいの創り込みができれば見応えあるものになるんだよね、きっと。
それほどこの映画には、多くの人の手間暇とお金が注ぎ込まれた結晶なんだと思う。
人は何のために生きているのか。誰しも生まれて死ぬまでの人生ずっと、自分の存在理由・価値、つまり居場所を探している。それは誰かと繋がり、必要とされることだ。
ただみんな平等で生まれてくるわけではない。平等に不公平なんだ。でもそんな世の中でも、それでも生きていかなくてはいけない。たとえ人種や生まれ育った環境の格差があろうと、逆境を跳ね返して強く生きなければならない。ずっと「希望という病」に侵されながら生きていくのだ。
自分の人生だからと言って、やっぱり自殺で片付けるのは悲しい。みんなやっぱりどこかで自分を殺すことには躊躇するけど、戦争や自爆テロは人の顔を見ないからできる。復讐が交錯する人間関係が描かれているが、憎しみの連鎖から何も生まれない。
「自殺防止フェスティバル」はすごくサイコパスだったけど、深く考えさせられるメッセージだった。
あと個人的に残っている言葉は、「中途半端な肢体で生まれて、完全な死体で死ぬ」。生きものはすべて死ぬために生まれて、死に向かって今を生きる。
高齢化社会、商売も生きるに関わること(結婚など)から、死ぬこと(葬儀など)に移ってきている。高齢者の娯楽だ。
アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した菅田将暉の演技に真骨頂を感じる。ライバル役のヤン・イクチュンもどんどん味が出てくる。そんな彼らが魅せるボクシングシーンの臨場感は見応えがある。
あとこのご時世、おっぱいがたくさん出てセックスばっかしている映画でもある。笑
※前後篇共通レビュー
ちくわが元気なうちに闘え!
2021年、新宿には爆破テロも頻繁に起こり、近未来らしさを表現している。そんな社会を背景にして、社会奉仕プログラム法が施行されて、奨学金を受けている者、返済中である者は1年間の介護活動か災害平和貢献をすれば奨学金を免除されるという。国際貢献プログラムという徴兵制も見え隠れする時代なのだ。もちろん徴兵制度反対集会などデモも起こり、対テロ阻止行動地区などというノボリも立ち並ぶ。一方では自殺も社会問題となっており、新宿にある西北大学では自殺防止研究会なるサークルも存在し、自殺防止フェスティバルという奇妙な催し物まで開催されている。
そんな時代。少年院から出所したばかりの沢村新次(菅田将暉)は振り込め詐欺で裏切った裕二に恨みを抱いており、プロボクサーになった彼に対して殴り込みをかけるが、あっさりと返り討ちにあってしまう。そこに通りかかった散髪屋で働く二木健二(ヤン・イクチュン)が助け、それを見た元ボクサーの堀口(ユースケ・サンタマリア)が2人をスカウトする。新次はひょんなことから芳子(木下あかり)と関係を持つが、所持金を持ち逃げされ、中華料理屋で働く彼女と再会したことで仲良くなってしまう。
新次と健二は見事にプロテストに合格するが、健二(リングネーム、バリカン健二)の腕はさっぱりだった。新次(リングネーム、新宿新次)はデビュー戦で1R12秒という早さでTKO勝ちを収め、2戦目では宿敵裕二のジム所属の相手を打ちのめした。そして、自分を捨てた母親京子(木村多江)と出会い、複雑な気持ちを隠せないでいたのだ。
寺山修司が1966年に書いた小説(未読)が原作となっているが、時代を2021年に設定したことで、かなり面白くなっている気がする(どちらも東京オリンピック直後というのは偶然か?)。東日本大震災や原発も登場人物に絡めていて、徴兵制を批判的に描いている。自殺に関しても新次の父親が帰還後に自殺したことをメインにして、帰還兵の自殺という奥深い問題を取り上げているのです。
原作ネタバレあり
原作読者です。
内容のことに関しては大体ほかの方々と同じ意見です。
しかしセックスシーン多かったなという感想もあります。
そんなにいるかなぁ、と思いました…。
これは「親」と「子」を中心テーマに置いていると思います。
特に「父」と「子」を。
寺山修司が作詞した「戦争は知らない」という曲がありますが、それを聞くとなるほど、と思うかもしれません。
『戦争の日を何にも知らない だけど私に父はいない
父を思えば あぁ荒野に 赤い夕陽が 夕陽が沈む』
あぁ荒野、という言葉も入っていますね。
寺山は良くも悪くも、コンプレックスの塊のような作品を作ります、それが不思議な熱を帯び、力強い作品になることが魅力的です。
それを、見事に表現していたのは素晴らしかった。
菅田将暉の即興的にも見える演技、ヤン・イクチュンのしっかりと入り込んでる演技、ユースケ・サンタマリアのキャラに入り切った演技…セックスシーンは多かった!もういい!と途中から思いました。
途中で自殺予防サークルかなんかのシーン、あれ原作では「早稲田大学 自殺研究会」って名前で、予防したいわけじゃないんですよね。
だけど無理やり「予防」にしてるから混乱する。原作では「自殺研究会で作った自殺機械を試したいから、本当に自殺する人を探さなければならない」→「バリカンの父を見つける」ということなんですが、なんで設定変えてしまったんでしょう。
でもあのライブでの舞台装置、あれ寺山修司主宰の「演劇実験室 天井桟敷」でよく用いられていた舞台装置の骨組みですね。
白い人達が踊っていたのは暗黒舞踏かな?
バリカンの父の設定も掘り下げてくれるとうれしかったな。彼は「話のネタになる本」なるものを持っていて、それを持ってだれかれに話かけに行く、孤独な一人の人間なんです。
ただの暴力おやじみたいになっているから、どうかなぁと。
後編見てないから何とも言えないけど!
原作読むと、なぜバリカン父が切った爪を缶の中にためているのか、なぜ芳子があんな風に生きているのか、なぜ宮木は性的な孤独をもっているのか、などなど、すべてわかります。
でも150分全く飽きなかった!
ずっと集中して、みつづけられました。
そっと瞳 閉じてみる 見る?
自分が生まれる前に出版された唯一の寺山修司小説が原作。勿論、原作は未読であり、寺山修司の情報は、『覗き』で逮捕なんていうスキャンダルな内容(私有地侵入の罪なだけだが)でしか持っていなかった自分とすれば、現代で言えば、宮藤官九郎みたいな人なのだろうかとイメージを膨らませる。いや、もっと前衛的なアーティストなのかもしれない。
作品では時間設定を2021年にしているのだが、これもまた勝手に深読みすれば、東京オリンピック開催後の世界、そして熱気、浮かれから醒めて、急に現実が襲いかかってくる日本、その中でも新宿が舞台であり、底辺の人間達の苦悩葛藤を煮しめたテーマ設定となっている。リアリティを追求する中で、苦しく切ない群像劇が繰広げられ、それぞれの登場人物が少しずつ収れんされて一つの太い束にこれから押し寄せる予感までが前半である。そういう意味では長い長い前フリといえなくもない。原作自体が未読だから不明だが、余りにも色々な人間関係が都合良くフックされてゆく流れは、勿論フィクションだし物語なのだから仕方ないのだがこんな箱庭みたいな世界観で良いのか首をかしげてしまうのだが、これも寺山ワールドなのだろうか?
但し、登場人物の力強さとアイロニーは、俳優達の努力が伺える表現となっていたと思う。この手の『尖ったナイフ』的ナイーヴを演じたら菅田将暉以外は思いつかないし、新宿という或る意味治外法権的な匂いを表現させたいのならば、韓国の俳優は適所なのだろう。さぁ、これから怒濤の後半戦を楽しみに鑑賞したいと思っている、そう期待を抱かされる作品である。個人的には『吃音』の問題は、他人事ではなく、正に自分自身それに悩み、今でもそれが基での軽いコミュ障を自覚しているから。
親子って何だろう?
近未来。世の中は殺伐とし、少子高齢化の波はどんどん広がる。
孤児院育ちの新次は詐欺紛いの仕事で仲間割れし傷害事件を起こし服役。出所後に戻るはずの居場所が既に奪われ行き場を無くしていた。
韓国から日本に連れてこられ元自衛隊の父から虐待を受け続けてきた建二。
理容師として働き、稼いだ金を父に毟り取られる建二は父から逃れるようにボクシングジムに住み込む。
新次もまた宿敵を倒す為ボクシングジムに辿り着く。
強くなり弱い自分を変えたいと思う建二とギラギラした闘志を燃やす新次は対照的。
新次は社長が運営する介護施設で働きながらボクサーを目指す。
かつてはラブホであった建物が今では豪華な老人ホーム。
そんな時代が迫っているのだろうか?
自殺防止を掲げるイベントをライブ配信し、自殺志願者が本当に死にたいのか問いただす。
誰もが恐怖のあまり命乞いするのが現実だった。
そんな時、イベント主催者が自ら自殺を決行した。
死をもって世の中に訴えることが目的らしい。
生と死。
ボクシングの試合で生きている事を生々しく実感。
介護施設では、死を目の当たりにしながら人間の最後を実感。
社長の変態ぶりと片目の飄々とした会話が良い。
新次の母で社長秘書の木村多江は見事にケバく強い女に変身。
新次と建二の仲の良さも微笑ましい。
生きる!生きる!生きる!と強く思える作品。
期待してたのに
実際見たら何か、何も伝わってこない映画だったなぁ………。
暗転多いし、脚本がつまらなかったような気がします。俳優さんたちが頑張ってるのは伝わってくるんですけど…。そしてとにかくベッドシーンが多いwwwwww途中、ちょっと不快になりました、そんなにいらないだろって
あと、自殺の部分が意味がわからない。
正直残念すぎる映画でした。
ユースケサンタマリアの演技だけは良かったと思いました。
赤裸々
鮮烈であり、むき出しの命を突き付けられる150分だった。
社会的に底辺の人か、ある種歪んだ人しか出てこない。メインキャストの生い立ちはこれでもかと思う程不遇だ。
この作品が発表された当時と現在は社会情勢も変わり、現代に設定を移行するにあたり様々な改変がなされたであろう。
だがしかし、
その改変は見事に的を得てるとしか思いようがない…。
全ての虚飾を削ぎ落とし、ありのままを生きようとする人物達から目が離せない。
物語が進むにつれ、ボクシングを通した更生の話しなのかと見誤るのだが、そうではない
それすらも手段の一つに過ぎず「それでも生きていくしかない」って呪縛が、ずっと本編の奥底に流れる。
主人公達はお世辞にも品行方正とは言い難く、死んだところで誰も悲しまないような境遇であり状況だ。
ボクシングなぞ、やりたくてやった訳じゃない。それしかなかったから始めた。
人間1人。
目的の為に、自らを研ぎ澄まし鍛錬に明け暮れ、生きる為の糧をもぎ取る。
他を喰らう事に言い訳も大義もいらない。
自らの食い扶持を得る為と大手を振って宣言してる。そのスタイルが、この人物達への造詣を深めている。
美しいと思った。
たった一つの目的とたった一つの武器にすがりもがく様が美しいと。
コレだけは譲れない。そんな欠片くらいの質量しかないようなモノに真正直に向き合う姿に圧倒された。
おそらくならばこの作品を映像化するにあたり最難関は「演技」という名の嘘すら排除せねばならなかった事だろう。
出演者達は見事に軽々と、このハードルを突破してみせていた。
本編の後に後編の予告が流れる。
アニキの台詞に鳥肌がたった。
伝わる熱量
ヤンイクチュンの顔を見るたびに涙がでそうになる。菅田将暉が人気あるのがこの作品で初めてわかった。このコンビが本当に素晴らしく、その佇まいの存在感だけで画面に引き込まれる。例えば愛についてのセリフも陳腐に聞こえそうなものだが、意外に真摯に切実に聞こえて、胸がいっぱいになった。彼らの純粋さがヒリヒリ痛い。試合のシーンよりトレーニングのシーンがよかった。でんでんがユースケサンタマリアに、こんな老いぼれに居場所をくれてありがとうと例を言う姿、高橋和也の数々の変態ぶりの描写、その他、かろうじて生き抜いてきている大人たちの姿に、生きてくってタイヘン、それでもなんとか頑張って生きてくしかないんだとおもった。菅田将暉の相手役の子はスタイルがよく身体がすごく綺麗。顔はすごく特徴があり、劇画みたいだと思った。
と言う風に感想を書き連ねてきて、自殺防止フェスのくだりはまったく心に残っていないことに気づいた。157分は長くて途中トイレいってしまった。あのくだりはいらないので、120分くらいにしてほしい。
あなたに~逢いたくて
剥き出しの気持ちの
ぶつかりあいが
上映中ずっと続きます。
一期一会を意識していなくても、
自分の心をさらけだせば
寄り添ってくれる人は見つかる。
最低な生活から
出直そうとする新次が
内気な兄貴や、やさぐれた芳子に
自分をぶつけて親しくなっていく
シーンに惹かれます。
あぁそうだ、仲間ってこうやって
つながるんだったって。
カラオケ以外で歌ったのは
いつだっけかななんて、
思いながら。
自分を守るためにまとった鎧を
脱ぐのは、
男でも女でも
こいつなら、壊されてもいいと
ふと思った時かな。
孤独の中で暮らしていれば
好きな歌や生い立ちを、語って
自分を知ってもらう過程は
なにものにも代えがたい
喜びなんだと思います。
本作がこれだけ支持されるのは、
とにかく、
躍動感がすごいので
映像を通してどんどん進む
人との深い繋がりや、
過去の人間関係決別の為の復讐の
達成感が共有できるところでしょうか。
いきてるぞー
という感じが
沸きます。
sexでもボクシングシーンでも。
最後のファイテイングなんて
みんな手が👊になってました。
後半が楽しみ。
最近枯れてるなぁと
思う人に。
おすすめ。
面白いと言わざるを得ない
新次、バリカン、芳子と強烈なキャラクターが順番に登場して、それが絡み合っていって、そこに劣らず強烈なキャラクターが足されてくの。
うわ面白えって、観ちゃうんだよね。菅田くんやっぱり演技うまいし、木下あかり綺麗な体してんなあとか、ボクシングシーンは迫力あるし。
リングネーム発表のところで笑い取るんだけど、面白いんだけど、なんか違和感あったんだよね。俳優としてのユースケ・サンタマリアが好きじゃないからかな。
脚本もすげえなあと思った。木村多江が自分で持ってきた弁当食べるとこは「こんなの思い付かねえなあ」と思った。
でもその脚本、真剣に熱く語るところが今ひとつなんだよね。芳子の部屋で、新次が愛を語るところと、自殺研究会でモロ師岡が命の重さを語るところ。ここで重量級のシーンきたら痺れたあってなると思うんだけど、ありきたりな台詞になっちゃってるの。もちろん普通以上のいいシーンだと思うんだけど、他が良いから目立っちゃうんだね。
あと山田裕貴を期待してみてたんだけど、菅田くんと一対一でやり合うと、食われちゃうね。役柄もあるんだろうけど、ちょっと菅田くんの勢いすごいわ。
エンドロールの後には後篇の予告で「え、こいつら、泣くの!?」って登場人物が泣いてるから、どうなってんのか楽しみ。かなりのことがないとただ泣いてるだけになりそうだけど、ちゃんと作ってあるんだろうな。
コレ絶対、映画館で見ないともったいない
昭和のマルチクリエイター、寺山修司の唯一の長編小説(1966)の映画化である。寺山修司の愛したボクシングをテーマにしていて、映画には競馬のエピソードも出てきたりもする。
コレ絶対、映画館で見ないともったいない。プロボクサー役の新次を演じる、菅田将暉のホンキが見られる佳作。まだ、前編だけしか見ていないが、たくさんある菅田将暉の出演作の中で、シリアス系の代表作になると思う(彼はコメディの実力も一流だから)。
しかも共演が、ヤン・イクチュンときたもんだ。代表作の「息もできない」(2010)は、監督デビュー作でありながら、主演・脚本もこなし、各国の映画祭でグランプリを受賞した名作である。ヤンは日本人と韓国人のハーフの二木健二を演じる。
新次と同じくプロボクサーをめざす健二は吃音症で、会話がままならない。それで、ヤンがキャスティングされたのかと思いきや、実際には普通に日本語のセリフを発声するより、むしろ難しいことが分かる。やはり「息もできない」の世界観イメージを期待されてのことだろう。
本作は、前・後編で157分+147分(5時間)という大作でありながら、公開館が異常に少ない。
それもそのはず。劇場公開前の9月29日からU-NEXTで先行配信が始まり、本編を6回に分けて配信、さらに11月1日にはBlu-ray発売されてしまう。これは"映画"なのか?
映画は興行であり、カネ儲けの構造が変われば業界も変容する。現在の主たる興行ウインドウ(公開形式)は、"劇場→レンタル→放送(配信)"であるが、トレンドは米amazonやNetflixを始め、世界的なネット配信事業会社がオリジナル映画を作る時代になりつつある。
さて、本作の舞台は"昭和の新宿"(原作)から、"近未来の新宿"にアレンジされている。具体的には"東京オリンピック後(2021年)"である。わずか4年後の話なので、きっと街並みも変わらないだろうし、なぜ、この設定なのか。
おそらく、新次(菅田将暉)の彼女・曽根芳子を東日本大震災の被災者に設定するためではないだろうか。原作でも、芳子は母と共に地震の被害に遭ったことになっており、震災(2011年)から10年後とすることで、平行して描かれる事象の背景も整理しやすくなる。
とくに近未来に意味はないだろうが、"東京オリンピック"という国を挙げての一大イベント後に予想される経済反動や、遅々として進まない震災復興、社会の閉塞感は変わらない、という"やるせなさ"を表現しようとしている。
もうひとつ。本作は始まったとたん、ギョッとする。上映アスペクトがヨーロッパビスタ(1.66:1)なのである。ヨーロッパビスタは、スタンリー・キューブリック監督がこだわったアスペクトとしても有名で、サイズ的には通常のアメリカビスタとほとんど違わないはずなのに、全画面が視野内にしっくり収まる。
横幅が狭く感じるので縦方向の広がりが強調される。これらによってリング上でのクローズアップになる試合の迫力が違う。明らかにヨーロッパビスタは意図した効果をあげている。
映像の高さ感を目一杯、味わうためには、見上げるような大スクリーンで観たほうがよく、U-NEXT配信を家庭用テレビで観てしまうと、この感動は矮小化されてしまうだろう。また劇場を選ぶにしても、ミニシアターは避けるべき。首都圏在住ならばピカデリー系をお薦めする。
(2017/10/9 /丸の内ピカデリー2/ヨーロッパビスタ)
菅田くんありき、以外とメロドラマな展開。
骨太な映画を想像していましたが、若干肩透かしな感じでした。
後編で繋がるであろう、二つの要素から構成されており、『ボクサー』パートはもろ〝あしたのジョー〟的でステレオタイプな昭和感。そこに親子の人情物的な内容も含み… 最終的には偶然皆んな繋がってしまいそうなメロドラマの様な人間関係。
もう一方の『自殺防止クラブ』パートは、福島の原発問題などを絡め、人の命の重さについて語るわりには、薄っぺらな感じ…
尺が前編、後編と長いと言う事もあり、この二つのストーリーがどう繋がってゆくのかを、見届けたくなるTVドラマの様な魅力はありましたが…
ただそれも、今人気の菅田将暉くんの演技力があるからこそで、映画としては1本で十分な内容。後編はDVDで。
魂の叫びをきけ!!
ぐわあ!!なんだろうこの心揺さぶられる思いは・・・
あの2人の気持ちに自分が入り もう苦しくて切なくて
感激して
内容は全く知らずに菅田君が出ると言うので観にいったのですが
最初からもう驚きのストーリー展開でビックリでした
菅田演じる新次は幼き頃父が自殺し母に捨てられ
詐欺でジジばばを騙して金を稼ぐ暮らしだったが
仲間に裏切られ務所に入って・・・など
もう 悲惨な人生を送る青年だし
同じく健二演じるヤン・イクチュンも飲んだくれの父親と
暮らし父の暴力を受け辛い暮らしを続けしまいには家を飛び出す
そして
2人がボクシングと出会い自分の人生を切り開いていく
今までの暗い人生からはいあがろうとする2人に
何か心が魂が揺さぶられ2人に元気をもらい
ほんとに良い作品です
ラブシーンもおっぱいNGとかの これが濡れ場かいと
言うものばかりの作品の中
しっかりと描いているのには良かったと思う!!
菅田 木下の2人のラブシーンにはもう感動しました
木下さんは若いのに女優魂を見させていただき感激です
私は山田裕貴のファンでもあり
彼は「ゴーカイジャー」でのゴーカイブルー役を演じていて
この時の彼がかっこよくて 今でもファンなのですが
映画の色んな作品に最近ちょこちょこ顔を出していて
とても嬉しく なんと今回は菅田のかたき役で登場していて
またまた嬉しい
他に 出演者の演技が素晴らしい!!
菅田君のボクシングする姿が様になっていてかっこいい!!
這い上がろうとする2人とは対象に人生に絶望し死にゆく人々も
描いていたり
まさしく世の中はあゝ荒野!それでも2人は生きていくのだ!!
早く後編が観たい!!
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