「邦画らしい情緒的なボクシングシーンを模索する心意気」あゝ、荒野 前篇 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画らしい情緒的なボクシングシーンを模索する心意気
吃音の建二役に韓国人俳優ヤン・イクチュンを起用したのは妙手だ。日本語の台詞を流暢に話す必要がなく、言葉ではなく表情や動作で感情を表現することに成功している(ちなみに、母親が韓国人という設定は映画のオリジナル)。
当然、ボクシングの場面が重要な要素を占めるのだが、はじめのうちはハリウッド映画に比べると体躯の差やカメラワークの差があって迫力不足に感じたが、次第に、リング上での殴り合いに情感を重ねる日本的な拳闘シーンを模索しているのでは、と。菅田将暉が演じる新次と建二それぞれの成長と関係性の変化も的確に描かれ、期待感とともに切なさも誘う。
好みの問題になりそうだが、原作で「女優のような美女」として描かれている芳子役の役者が魅力に乏しくて残念。激しいベッドシーンが多数あるので、キャスティングに制約があったのだろうが、共演陣では木村多江、河井青葉、今野杏南の方が女優然とした華があった。
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