「今回はダメでした」サバイバルファミリー なかむりさんの映画レビュー(感想・評価)
今回はダメでした
個人的には、矢口監督作品に関しては好きな作品と嫌いな作品と結構分かれる。
で、今回は結論から言うとダメな方でした。
これは、言わずもがなの事ではあるが、題材としては3.11の時の東京近郊が実際に計画停電など起こったのがきっかけだと思う。電気がある日突然無くなったらというアプローチ自体、3.11以後の我々には割と身近に考えるべき問題であるのは間違いない。
ただ、小日向文世さん演じる父親に色々な違和感を感じながら見ていた。
まず、彼の無計画で無鉄砲な行動で、家族を度々危険な目に合わせすぎということ。
そして、命の恩人とも言える人を置いて、また無事たどり着くかどうか分からない危険な旅に出るという選択。家族の絆とか言いたいのかもしれないけど、それでも彼についていく理由が弱すぎるし、命の恩人をある意味見捨てる選択に正直腹が立った。
遠くの親戚より、近くの他人って言葉はこの場合当てはまらないのかね。
そして、発煙筒の件も、全ての物を失ったのに発煙筒だけ何で都合よく持ったままなの?
それも、最初に今は使わないでポケットにしまう描写を一つ入れて置けばまだ納得できたのに。
そして最後、そうまでしてたどり着いた奥さんの実家で、二年間そのコミュニティである程度人間関係を築けているだろうに、電気が戻ったとたん結局東京に戻るんかい!
そもそも小日向文世さんの風体からしても50代半ばじゃん、定年まで後数年なのに、わざわざ戻るなんて結局コイツラは何にも成長してないじゃん。
結局は何もない田舎より、都会の方が便利でいいね、って結論にしかなってない。
って事で、わざとらしい伏線の数々、ご都合主義にも程があるお話の展開、これでは電気に依存し過ぎの現代人に対して特に何の警鐘も鳴らせていないと思う。
それとも、我々日本人は3.11の後何にも変わっていない、喉元過ぎれば熱さ忘れる民族だということが言いたいのか。
だとしたら、それはその通りとしか言いようがない。
電気がないと映画も作れないし観れないんですよ?電気が無ければ諦めるしかないし映画どころじゃないけど電気が戻ったらやっぱ映画また観たくなるでしょ?そういうこどじゃないかなあ。