「各人の心情がスッと心に入ってくる、良質なサスペンス映画でした」22年目の告白 私が殺人犯です スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
各人の心情がスッと心に入ってくる、良質なサスペンス映画でした
元ネタの韓国版は見てないので結末を知らなかったのが良かったのか、先の読めない展開にハラハラドキドキしつつ、大いに楽しめた映画でした。
リアリティのある部分と無い部分が絶妙にブレンドされた脚本は本当に見事、私は元ネタとの比較はできませんが時代背景を含め日本人の心に響く日本ならではのストーリーに改編した辺りは、十分評価に値する内容だったのではないでしょうかね。
まあ細かく紐解けば納得できない点やツッコミどころも多々ありましたけど、現実の話ではない一つのサスペンス映画としては、十二分に満喫できた作品でしたよ。
もう予告編からして興味をそそられる映画でしたね、あの藤原竜也がまたクズを演じる、それだけで、おっ!となってしまいましたもん。
時効を過ぎて現れた犯人が藤原竜也、彼を追っていた刑事が伊藤英明、その設定で既に十分面白そう。
勿論、そのまんまの映画なはずはないであろうことは明白な訳で、これがどう展開していくのか、そのワクワク感をある程度裏切らないレベルで結末まで迎えたのは嬉しい限りでした。
たまに秀逸な設定でも大きくズッコケる映画がありますからねぇ、それ考えれば、まあ最後の展開はもう少し改善の余地があった気はしないでもなかったですが、基本的には満足できる内容だったかなと。
また何度かどんでん返しがあるストーリー構成の中でも、藤原竜也のイメージを逆手に取った演出は、なるほどそう来たかと言う感じでした。
本当にクズっぷり、狂気に満ちた演技が上手かっただけに、素直に驚けましたよ。
武闘派ながら哀愁に満ちた伊藤英明の演技も作品をより良いものに引き上げた印象です、物凄くキャラ的に濃い2人でこうも感情移入させられる作品に仕上がっていたとは良い意味で予想外、また遺族やその周辺の人々を演じた脇役陣もホントお見事でしたね、その心情が見る者の心にスッと入ってくる秀逸な脚本と演技でした(野村周平の使い方とか夏帆の演技は特に印象深かったです)
しかしどんなに心穏やかに過ごしていても、ひとたび震災や紛争が起これば、人の心は大きく変化してしまうことを改めて見せつけられましたよ。
だけに、尚更感情移入させられちゃいましたね、事件の遺族感情も痛いほど伝わってきて・・・。
まあ若干無理のある真相ではありましたけど、ただどんでん返しを見せるだけの作品ではなく、法制度も含めて何かと考えさせられる作品に仕上がっていた点は、何気に好印象だったサスペンス映画でした。