「閉塞感漂うこのご時世への警鐘か」ナラタージュ けいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
閉塞感漂うこのご時世への警鐘か
最近の、効率重視、分かりづらいもの、正しくないもの、役に立たないものを寄ってたかって糾弾し、排除していくこの情勢の中上映された、意欲作だと感じた。
映画の内容はただ、泉の回想録だ。
泉の目線からのみ語られる回想ゆえ、葉山先生の本当の感情は、彼女にも、こちらにも分からない。
その空白が、鑑賞後、とても強い余韻となって心を支配する。
彼の本心を知りたい気持ちが、彼の一瞬の目線を、その表情のゆらぎを、その瞳の揺らめきを、一瞬たりとも見逃したくない気持ちとなって、固唾を飲んでスクリーンを凝視した。
心の奥の奥に、誰にも見せずに封印している何かがある、そういった人には、間違いなく響く映画だろう。
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