「様々な感想があって当然、その感想を語りたくなる映画。」ナラタージュ かほたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
様々な感想があって当然、その感想を語りたくなる映画。
時間を置いた後に見返したくなるであろう作品であり、いろんな人と感想語り合いたくなるであろう作品という印象を持った。
役者の演技はとても良かった。しかし、クレジット順には少し疑問もある。
このナラタージュの主役は有村架純。確かに葉山先生の存在感もすごく大きいのは言うまでもないけども。
この映画は松潤、有村架純、坂口健太郎のほぼ3人の演技だけで成り立っている。
有村架純さんは、まさしく新境地っていう感じで見たことのない有村架純がスクリーンにはいた。まさに怪演と言うべきか。確実に、彼女は時代を代表する大女優への道を歩み始めているであろう。役者としてこんなにも振り幅があるんだと私は感心してしまった。
そして、アイドルの松本潤ではない、葉山先生がスクリーンにはいた。完全にオーラを消していた。代表作である花より男子のイメージが強かったが、道明寺の正反対である葉山先生に見事になりきっていた。かっこよくはなかったけれども。彼には、できることなら、主役に限らずいろんな作品にでて、いろんな役を演じてもらいたい。
坂口健太郎さんの狂った演技もとても良かった。こんな坂口健太郎見たことがなかった。役柄はクズ男だけどもはまり役。役者としての格も一つ上がったのではなかろう。
この3人のファンは映画を見に行くべしと私は思う。濡れ場も週刊誌などで言われてるほどでもない。富山の情景の中で、とても美しく描かれている。
しかし、一つ一つのシーンが断片的すぎる。
特に編集には納得がいかない。
140分もあるわりに、ところどころが断片的すぎて意味がわからないところが多々ある。
特に最後のクライマックスに近づく前、海辺で葉山先生が泉に今後のことを話すシーンをダイジェストにしたのは正直いただけない。
もっと忠実に描いて欲しかった。
いろいろ思う点もあったが、最後の野田洋次郎作詞作曲の主題歌をはじめとする音楽、雨や万葉線をはじめとした富山の情景はとても美しく、役者の演技はとても良い。見終わった後、感じた不満も満足に変わるぐらいに、余韻が感じられた。
昨今、不倫や束縛は悪と取られがちだが、ダメだとわかっていても、こんなことがあれば想いを寄せたくなるだろうなあと。
良い点あり、納得もいかず腑に落ちない点もある不思議な作品だった。
これは、昨今流行ってるスイーツ映画ではなく、(大学生以上の)大人のための映画である。
(10代の人は、この映画を見るときっと理解できないとは思うが、きっと10年・20年経つとこの映画を不意に見返したくなると思う。)
見る人の年代・性別によって感じ方、考え方三者三様であるはずだ。だからこそ私は、いろんな感想があって当然だと思う。
この映画の見て、自分自身の恋愛に関する視野が広がったと感じた。
見終わった今、この映画を見た人と無性に直接感想を語り合いたくなる映画は初めてだった。駄目作と言う意見でも激しく絶賛する感想でもいろんな意見を聞きたい。そして語りたい。
1つ1つのシーンが、人によって感想が大きく違うのではないかと感じた。この映画の感想をいろんな性別・年代の人と語りたい。語ることによって、また新たな視野が広がり、そこに面白味を強く感じる作品ではないかと思った。
個人的にはとても好きな作品であった。また、ふとした時に無性に見たくなると思う。