劇場公開日 2017年5月20日

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「邦画界に新風吹き込む勇気ある作品」たたら侍 amariaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0邦画界に新風吹き込む勇気ある作品

2017年5月22日
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昨年のモントリオール映画祭から15分カットした編集での日本公開。本来なら三部作にでもすべき盛りだくさんな内容を2時間に収めたのですから、そのヒズミは大きく、起承転結的にすんなりまとめられているとは言いがたい、課題もはらんだ映画です。

なのに、何故是が非でも高評価を出さずにいられないほどこの映画を愛してしまうのか

それは、本作で、添加物浸けになっている現代人に敢えて一切無添加のナチュラルな本物を届けようという無謀を実現したEXILE HIROさんと錦織監督の果敢な姿勢に胸打たれるから。

CGや速回しを駆使していたら、もっと単純明快なカッコいいヒーロー仕立てのストーリーにしていたら、100倍楽だったはず。エンターテイメントを追求してきたLDHがその真逆に価値を見いだし、歩んだ第一歩かなーと感じます。

息をのむほどの映像美、鉄づくりの神聖なシーン、圧巻の長回しの殺陣シーンなど、みどころはたくさんありますが、一番注目したいのが、非常に情けなくかっこ悪い、失敗だらけの主人公演じる青柳翔の生々しい本物の心の機微です。自分の内側から溢れ出て来たものしか表現しない、できない、決して器用とは言えない役者が、全身全霊で描く恐ろしく繊細な心模様をその瞳に正直に映し出していて、いちいち感動が止まらない。その青柳の目を錦織監督がふんだんにクローズアップしてくれています。

よって、課題を差し引いてもお釣りが来るほどのリッチな映画。公開前に3度見ましたが、見るたび新しい発見があり、新しい学びがあるので、もう一度見たくなってしまう。

見て、「あー面白かったー」で終わる映画ではなく、鑑賞後にじわじわと考え掘り下げて、もっと色々知りたくなる、私にとってはそんな奥行きの深ーい映画。海外在住ということもあり、日本人としての誇りを鮮明に思い起こさせてくれる「たたら侍」、メッセージ性も込めて、あらゆる面からビューティフルな映画です!!

amaria
風邪の民さんのコメント
2017年5月22日

共感しました。
私はEXILEファンではありませんが、
EXILEのHIROさんが、こんな本物の映画を世に送り出したことは
凄いことだと思います。
邦画は世界とかけ離れていて、子供たちが見る映画も酷いし、
家族でみる映画もほとんどない現状です。
東京オリンピックでおもてなし、とか言ってますが、和の心を感じさせる
こういう映画こそ国を支える人たちに見てもらいたいものです。
良い映画です。
一つ注文するとしたらハイ&ローのイメージが邪魔していて勿体ないかな。
LDHという社名ならたたら侍みたいな映画をもっと作って欲しいです。

風邪の民