「グッドナイトが良かった」マグニフィセント・セブン kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
グッドナイトが良かった
七人の侍が原案なので、どうしても比較しながら観ましたが、充分面白かったです。
リメイクならではの魅力を最も放っていたのは、イーサン・ホーク演ずるグッドナイト・ロビショーではないでしょうか。原案にはない、非常に味のあるキャタクターだと感じました。
イーサン・ホークのなんとも複雑な苦悩を滲ませる表情とか、何故かトム・ウェイツに似た面構えとかも含めて本当に良かった。
荒唐無稽な本作品の中で、グッドナイトの存在はとてもリアル。
人を殺しまくった死の天使がPTSD的に苦しむのはとても腑に落ちるし、自然だろう。戦いや銃を撃つことへの恐怖を抱き、前哨戦では逃げ行く敵を撃つことができない。そして、戦いの前夜に敵前逃亡をカマす、という結構な驚きの行為をやってのけた。
物語上、戻ってくるだろうとは思ったが、それまでのイーサンの演技が良く、グッドナイトの痛みが伝わってきていたため、
『グッドナイトは戻ってこなくてもしょうがないよな〜』とさえ思った。
でも、(バレバレな展開だけど)グッドナイトは戻ってくる。
仲間のため、街の人たちのために彼が戻ってきたシーンには、わかっちゃいるが感動してしまった。グッドナイトの苦悩を超えて意味ある行動を選択する誇り高さには、Magnificent なリアリズムが息づいていると思う。それを裏付けているのがイーサン・ホークの名演だろう。
そんなグッドナイトに対するビリーの「帰ってくると思ってた」もシビれましたね。
グッドナイトの死に様も、後悔なくやりきった、生ききった、って感じでなんとも清々しく思えました。
リーダーのサムは予想以上に勘兵衛入っていて嬉しかった。志村喬が黒人顔だから、デンゼル・ワシントンがハマったのかもしれない。ラストの独白は余計かな、ただの復讐譚になってしまっている。
バスケスとレッドハーベストはややキャラが弱くて残念。カッコよかっただけに勿体なかった。
シャックも罪悪感を感じさせるキャタクターで、グッドナイトに次ぐリアルさがあると思いました。顔面どアップの死に様も印象に残る。どこか救済を感じさせる表情だった。
言わずもがな、ガンシーンはカッコ良くてセクシー。滅茶滅茶ハデで、リメイク版『13人の刺客』の殺陣シーンを連想しました。