「すごいところに踏み込んだものだ。」インクレディブル・ファミリー バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
すごいところに踏み込んだものだ。
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「ヒーロー活動を法的に認めるべきか否か」問題については、前作も触れられていたし、最近のヒーロー映画では定番のモチーフになっている。それよりも驚いたのは、本作で悪役が表明する「お手軽で他力本願な大衆心理への憎悪」がまったくもってその通りであり、劇中で反対意見が提示されることもなく、悪役が命を救われてもなお間違っていたと改心するわけでもなく、ただそのままに放置されて終わることだった。つまりこの映画の悪役の告発は、ヒーロー一家の活躍を期待して、彼らにガンバレとエールを送っているわれわれ観客自身にも向けられているのだ。そのテーマが宙ぶらりんのままで物語が終わってしまうことは、果たしてブラッド・バード監督の怠慢かそれとも確信犯なのか。自分はバード監督が、簡単に答えが出ない問いを敢えて投げっぱなしにしているように感じた。映画としてはハッピーエンドで丸く収まるが、敢えてモヤモヤを残す挑戦状のような問題作だと感じている。
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