「次のステージへ!の展開に期待するも…」カーズ クロスロード shoz_さんの映画レビュー(感想・評価)
次のステージへ!の展開に期待するも…
レース中のアクシデントに見舞われたベテランマックイーン!辛い!というトレーラーから「持ち前の反骨精神でどんな成長、逆転劇を見せてくれるんだろう」という期待が高まり過ぎてたいた。
カーズ、プレーンズシリーズが本当に好きでそれはもう自宅の小さな画面で繰り返し観ては僕たちが失いかけた大切なもの、美しい風景なんかに想いを馳せて涙を流すわけだ。なぜ無機質な工業製品であるところの自動車がこれほどまで違和感なく感情を持てているのか。ひとりよがりのルーキー、消失寸前のスモールタウン、夢とロマンのルート66、僕にとっての戸田恵子は、2006年にアンパンマンからサリーに変更されましたのでよろしくおねがいします。
クロスロードの話に戻すと、まず2017年にもピクサーの技術は度肝を抜かせてくれた。車体にきらきらと反射する背景、衝突レースの躍動感、実在できそうでできなさそうなカメラワーク、映画館で観る価値を感じる迫力だった。
マックイーンは歳をとっていた。「アイアムスピード」と繰り返し自分に言い聞かせる、新進気鋭の若手ストームからは「チャンプ、チャンプ」と揶揄され、ずっと支えてくれたスポンサーは大企業に買収され、最新鋭の技術で作られたレーシングシミュレーターを使いこなすことはできずビーチで走りたいとごねる、30代を迎えたビジネスマンである自分にはほんとうに辛いシーンの連続だった。
最後は感動する、確かにそうだ。今は亡きハドソンホーネットへのリスペクトも含め高揚感を持って映画館を後にすることができた。でも最後だけだった。もっと早く、辛い空気から抜け出して、楽しい時間を過ごしたかった。