劇場公開日 2017年7月14日

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銀魂 : インタビュー

2017年7月14日更新

――福田監督がおっしゃる通り、銀時役は小栗さんしかできないと感じました。役づくりのアプローチはどうでしたか?

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小栗 改めて漫画を読んで、空知さんが大事にしていることを壊さずにやりたかった。一番かっこいいじゃないですか、普段ダメなのに本気出すと強いって。でも原作の銀時は、強いけど結構負ける。そういう人間らしい部分を出せたらと思っていました。あとはもう、ほぼ初めての福田組なんですよ。

佐藤 あ、そうか。意外。

小栗 監督としての福田さんは「勇者ヨシヒコ」のワンシーンでだけ。笑いのことはいまいち僕もわかりませんから、そこは福田さんにお任せ。言われたことをやっています。

福田 今作で空知さんが一番笑ったシーンは、小栗くんのしゃくれ顔だそうです。対談した時に「それだけで金を払える」と言っていました。

小栗 本当ですか! 嬉しいなあ。やって良かったです。

――福田監督は俳優・小栗旬への演出に、どんな感想を持ちましたか?

福田 ぶっちゃけた話、緊張しましたよ。鈴木亮平くんも、彼は小栗くんと同い年で仲良しなのに、やっぱり会う前は常に緊張するんですって。僕にもすごくこう、演出することにすごく緊張感があった。でも途中から、小栗くんがそこを崩してくれているのがわかった。僕のことを「雄一」と呼ぶし。

佐藤 ちょっと待て(笑)! いろいろあるぞ、下の名前、呼び捨て?

福田 途中から何でも言える関係になりましたね。実はずっと小栗くんのこと、苦手だったんです。でも今は、役者さんのなかで一番LINEをやり取りする仲良しです。苦手だったのに急に大好きになるって、この先、一生ないですよ。あとスターがなかなかいない日本映画界で、小栗くんが一番のスターだと思っています。なにより役者たちが面白くできる雰囲気を小栗くんが作ってくれる。これが一番の特色で、パーフェクトですよ。私生活ではだらしなかったりするのかな?

小栗 (笑)。いやあ、良かったですよ。「銀魂」が公開まで何とかこぎつけて。

福田 (手を叩いて大笑い)

小栗 ひやっひやでしたよ! 大作を待つといつもそうなんですけどね。何とかいけて良かった。

――最初に二朗さんが現場に来た時、演技について一悶着あったと伺いましたが。

福田 最悪でしたよ。びっくりしました。腰が抜けました。

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佐藤 そのシーンが残ったままになっているんだよね。僕が登場して真ん中くらいの、船の上。(小馬鹿にしたトーンの)セリフを一息で言うんだけど、「違う」とわかって、それ以降は普通にしています。でもそこだけがものすごい違和感。

福田 そう。二朗さんが衣装合わせの時に「原作は意識したほうが良いな」と言っていたんです。でも当日来たら、全然原作と違う人の演技。「誰それ!? どした、どうした!?」と速攻で止めて、「ダメだそんなの!!」と怒りました。

佐藤 正直、原作を見るの忘れていました。

福田 忘れるって最低でしょ。

小栗 大笑い

福田 空知さん、二朗さんのファンなんですよ。「ヨシヒコ」も「アオイホノオ」も二朗さん目当てで見ていたと聞いてがっかりした。

佐藤 いや、がっかりする必要ないだろ。僕、原作を読んでないから現場で空知さんに怒られるかと思った。でも「二朗さんはそのままで」と言われて、もう土下座。靴舐めたくなった。

福田 原作知らないから「万事屋(よろづや)」を「ばんじや」と読んだんですよ、この人。「万事屋で飼っている犬は?」と聞いたら「それは知ってる。エリザベス!」。全部メイキングに入ってるから、DVDは楽しいと思います。

小栗 (体をのけぞらせて)すげえな~。

福田 「知らないふりも大変だな~」とか言ってごまかしてたし。

佐藤 汗ダクダクだったけどね。これはやばい、原作ファンに怒られるって。

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――撮影を通じて、印象深かったことはなんでしょうか。

福田 二朗さんは絶対あそこを語るべき。

佐藤 どこ? あ、ボタンね。ボタンなあ。

――ボタンですか。

佐藤 菅田演じる新八と僕が対峙するシーン。菅田の発案なんだけど、銀時のマネをして、格好つけて船上の神楽を助けにくる場面です。着物の右肩を脱いで登場する時、見えちゃいけないボタンが見えちゃっていたんだよね。本番で僕が「お口ムニムニしないで」「いいの、ボタン見えていて?」と言うと、菅田が「うん……」と言ってプツッとボタンをつけるんです。すごく静かなスタジオだったから、実際にプツッて音が響き渡ったんです。「今、プツッていったね」と言うシーンが印象深い。

福田 あのくだり、全部で10分くらいやっていたんですよ。それを1分くらいにまとめたんだけど、その間中、ずっと二朗さんの隣にいた菜々緒ちゃんが笑っているんですよ。

佐藤 いや、あの……。

福田 あと「デステ」と言い始めたんです。

――デステ?

福田 「お口ムニムニしないデステ」。デステが面白くなって、デステ、デステ言ってすげえ喜んでるの。

佐藤 無意識。自分が何やったか忘れているから。それで本編見たら、いきなり「お口ムニムニしないデステ」とか言っているから、「なに言ってるんだ、俺。福田はどうしてこれをカットしないんだよ」と思った。

福田 小栗くんも初号試写見て言ってたよ。「『バレンティン』は言っちゃダメだよ」って。

小栗 バレンティンはダメでしょう。何だあれ!

佐藤 (爆笑)。バレンティンって言ってたね!

福田 「(奇声)ざんぜんふぇんせんバレンティン!」。バレンティン関係ないじゃん!

小栗 本当に、何あれ!? その言葉が出ちゃったの? おかしいじゃん(笑)!

――小栗さんはどうでしょうか?

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小栗 出来上がりを見たら、本当に、何も大変なことしていない二朗さんのシーンが使われていることがすごく多い。

福田&佐藤 (爆笑)

小栗 こっち、新井浩文くんと10日間ひたっすら戦ったのに、この人らの「お口ムニムニ」の3分の1くらいしか使われていない! それがいっちばん悲しいです!

福田 新八と武市が「チェストー!」と刀を構え合うシーンがありますが、たぶん午前中に30分くらいで撮った。その日はその後、延々と神楽とまた子(菜々緒)のアクション。でも本編の尺は二朗さんたちのほうが長い。それも菜々緒ちゃんがすげえ怒ってた。『なんでちゃちゃっと撮ったやつのほうが長いんですか?』って(笑)。

佐藤 ちゃちゃ、だったもんな(笑)。でも小栗たちは本当に大変な思いだった。

小栗 大変な思いだったのに、出来上がったらアクションシーンが1分ないくらい。本当に悲しくなりますよ! 新井くんは二度と、福田組のアクションがある映画には出ないと思います(笑)!

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佐藤 ずっと「あのシーン、何でないんだろう」と悲しんでたもんな。

福田 申し訳ない!

しゃべりまくる3人。鼎談は大盛り上がりのうちに終了の時刻を迎えた。劇中では「最初で最後の実写映画化」と言われていたものの、魅力的な原作エピソードは山ほど残っている。もし続編があるならば、再び小栗と福田監督がタッグを組み、佐藤は役どころを変え、化学反応を起こすさまを、また見たい。

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