「宝の持ち腐れ。綾瀬はるかを無駄遣い。」本能寺ホテル Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
宝の持ち腐れ。綾瀬はるかを無駄遣い。
近年のフジテレビのセンスのなさを体現したような映画。"マーケティング"ではなく、"投資の回収"で企画するから、リスクを回避した新しくないドラマばかりが生まれる。
シリアス路線とコメディ路線を自然体でこなせるテッパン女優"綾瀬はるか"を使い、"GTO"、"HERO"の鈴木雅之監督を立てれば、フジテレビ・東宝の両サイドに企画を通しやすい組み合わせで、こんな不幸な作品が生まれてしまう。
"「プリンセス トヨトミ」の監督&主演ですよ"とプレゼンしたかどうかは定かでないが、"トヨトミ"の次は"ノブナガ"かよ、観客(視聴者)を馬鹿にしすぎである。
しかもフジテレビはつい「信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)」(2016)を作ったばかりで、その発想の貧困さは、目も当てられない。近作をアレンジするという安易さは緊急事態である。
"大河ドラマ"や"忠臣蔵パターン"の好きな国民性を考えれば、"織田信長"は何万回やってもいいのだろうが、フジテレビには天海祐希主演の「女信長」(2012)という前科もある。信長ネタはなんでもアリか。
作品はスタッフもキャストも一流だから、当たり障りのない映画だ。綾瀬はるかのためにキャラクター設定されているし、脚本も書き下ろされているので、綾瀬はるかファンは十分満足できるだろう。アラサー女子のアイデンティティの確立をテーマにした気持ちも理解はできる。オッサンの自分には関係ないが。
彼女のおかげで、そこそこヒットするだろう。かくして"投資の回収"目的も達せられるはずだが、こういう作品に付き合わされる観客はたまったものではない。"綾瀬はるか"という大切な素材の無駄遣いである。
(2017/1/14 /TOHOシネマズ新宿 /シネスコ)