「トムがいるから安心して楽しめる」ジャック・リーチャー NEVER GO BACK ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
トムがいるから安心して楽しめる
一つの作品につき、一つの舞台、一つの事件。流れ者の彼はまるでフーテンの寅さんか、諸国漫遊して悪を挫く黄門様のようだ。97年以降、一話完結モノのハードボイルド小説として人気を集めてきた本シリーズ。クールな掴みを見せた前作『アウトロー』(原作では9作目)に続く本作(原作では18作目)では、従来のストイックさとはまた異なる主人公の血の通った人間像を浮き彫りにしてキャラの幅を広げているのが面白い。付かず離れずのヒロインや少女との間に疑似家族のような味わい深い関係性をにじませ、そうやって守るべき存在があることで状況的に不利になりながらも、その分、並外れた強靭さを内面に膨らませてとことん泥臭く闘い抜く。そこらへのキャラ作りのこだわり、チームワーク、そしてやっぱり自らスタントをこなさずにいられないトムの執念も含めて、わかりやすく、安心して楽しめる娯楽作に仕上がった。
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