「ただのホラー映画じゃなかった」ライト/オフ とんぺーさんの映画レビュー(感想・評価)
ただのホラー映画じゃなかった
怖がる少年と病気の母という弱者ペアーが、ひたすら脅かされる単調なホラーかと思っていた。
しかし、ここに強気な姉といざという時に頼りになる姉の彼氏+モンスターの出現条件が一定というスパイスが加わり、見事にマッチしている。
冒頭の少年の実父がモンスターに殺されるシーンは、スーパーナチュラルの冒頭シーン並みにコンパクトで、印象付けもバッチリ。
母と姉の確執も、映画的な要素として登場人物たちの背景が見えてくる。弟を想う姉が保護者として認められないシーンは、クレイマーvsクレイマーをのダスティン・ホフマンを観ているようで、辛かった。
少年が母と過ごす決心をするも、恐怖に打ち勝てず逃げ出してしまう。このシーンで、母がただの狂人として描かれないのは、子供たちへの愛情が動機となるシーンに説得力が出てくる。
ところで、この映画は音の使い方が非常に効果的だ。ダイアナの正体がわかるシーンのBGMは、シャーロックホームズばりにテンションが上がるように作られている。ダイアナの登場シーンの床や壁を引っ掻く音も、耳障りで寒気がする。
ダイアナとの攻防戦は、ホラーというよりサスペンスに近い。緊張感のあるシーンだった。残念なところを挙げるとすれば、カメラワークが単調で、観ていて飽きる人も出てくるのではないだろうか。展開の起伏、静と動はとても良かった。
ブラックライトで姿を暴き、ライトを当てるという発想は、ルールを逆手に取った良いアイディアだった。
そして、最後のシーン。母の決断。ここは多くを語るべきではないだろう。子供たちへの愛ゆえの。
DVDには未公開映像も付いていた。
未公開映像では、本編の補足とエピローグが収録されていた。
エピローグは本編の雰囲気を壊すほとではないが、蛇足に感じられた。いい判断だと思う。