「シンプルなアイデアが工夫でこんなに良作に!」ライト/オフ saikimujinさんの映画レビュー(感想・評価)
シンプルなアイデアが工夫でこんなに良作に!
原題「lights out」が何故「ライトオフ」と訳されてるのか。誰も得しない邦題はさておき、作品自体は大好きです!
元々、今作の原案となる2分40秒の短編をYouTubeで見て、驚いた。
たった2分40秒でこんなに怖いなんて、凄い!
出演者はたったの1人(しかも監督の彼女)
場所は自宅のみ。
マジで制作費0円なんじゃない?くらいの自主映画。なのに全くそう思わせないクオリティ。
この映像は海外を中心に口コミで広がりバズって、この映像を見てる素人たちがそのリアクションを撮ってYouTubeにアップするという現象まで起こした。
メイキングもYouTubeにアップされているので是非見て欲しい。ここまで見せちゃうんだ!と驚かせるほどのサービス精神。
デイビッド監督はフィンランド人の素人だが、この映像を見たジェームズワン監督
(「ソウ」で一躍有名になったホラー映画監督)
が彼をフックアップ。長編バージョンの今作につながった。
正直少し心配していた。
デイビッド監督は短編ホラーを幾つも撮っていてどれもよく出来ているが、だからって長編が上手くいくとは限らない。
短編と長編の作り方ってのは全く異なるからだ。
それにこれ以上このアイデアをどう膨らますんだよ、って。
でも心配は無用だった。
物凄くシンプルな設定が、工夫による工夫により、すごく膨らんでいた。
なるほど、こう広がるのか!!と。
ストーリーの膨らまし方はホラー映画のお約束。短編で登場する、暗闇に現れる謎のソレにバックグラウンドの物語をつけて、それに付きまとわれてしまう家族を描く。良くあるパターンだ。しかしこの判断は正しいのだ。ホラー映画とは、お約束をやりつつもそれをどう裏切り、どう新しい表現で怖がらすか、なのだから。脚本をプロに任せたのは賢明な判断だったのだろう。
とにかく僕が感心したのは「工夫」だ。
電気がついたらソレは消え、電気が消えたら現れるソレ、という設定をあらゆるシチュエーションで見せてくれる。
正直短編だけでこのアイデアは終わりだろって思っていたので、なるほど!そんな見せ方があるか!と驚きの連続だ。この物語がなくては表現できないようなライツアウト演出もあって、抜き目がない!
素晴らしい!
ホラー映画ってのは、ラストの見せ方が結構難しい。
例えば「死霊館」みたいに湿っぽくなったり…
見せ場がたっぷり過ぎて胃がもたれたり…
話が終わってもダラダラ話続けたり…
なかなか顔を見せなかった幽霊がバンバン顔だしちゃって何か冷めちゃったり…
しかし今作のラストの見せ場、いわばソレとの対決は、とても丁度いい長さと満足感。
そしてしっかり驚きや予想外の展開も入れてくれてる。
警察官まで出してくれた時にはとても嬉しい気持ちになった。ホラー映画によくある、いや警察呼べよ、のツッコミを封じ、逆手にとって上手く利用していた。
今作はUSで大ヒットし、既に続編の制作が決まっている。
平日のレイトショーということもあったのか、正直劇場にはあまり人が入っていなかった。なぜだ!これじゃー続編が劇場公開されずDVDスルーになっちゃうよ!
ということなので、頼む!みんな劇場に見に行ってくれ!ホラー映画は劇場で見るのが一番良い楽しみ方なんだよ!!!