「家族であるということ」まなざし jtoyaさんの映画レビュー(感想・評価)
家族であるということ
殺人の罪で長年服役していた父親。憎み続けたその父親を突然介護することになった娘。病気のために自分では動くことも話すこともできない父親に対して、愛のない介護が淡々と続けられるという究極のシチュエーションの中で、たどり着く先には何があるのか。
在宅医療に携わる者として、家族が介護することならではの難しさはしばしば経験させられること。たとえ人生の終わりがみえてきても、長年の関係性を埋めることはできず、互いに苦しい思いをなさっていることもある。
なにが正しいかではなく、当事者がどうありたいのかをささえる立場として、シーンの数々を反芻しながらこの主人公の気持ちについて誰かと語りたくなるような、深い余韻を残す作品。
監督の卜部さんは、ご自身でも介護職として仕事されており、リアルに表現された介護シーンは、是非劇場で体感してほしい。
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