劇場公開日 2016年11月25日

「映画としての完成度は非常に低いが」L エル チェイン・皇さんの映画レビュー(感想・評価)

0.5映画としての完成度は非常に低いが

2017年2月14日
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鑑賞方法:映画館

abcのファンにとっては良い……のかな?
主人公のL役、広瀬アリスさんの垢抜けない演技は或る意味垢抜けきれないこの映画のLという役には有っていたとは思います。


前半La vie en roseパートはCGの酷さと相まって、もう学芸会にしか見えません。
確かに日本の映画としてのCG技術は非常に低く、ハリウッドとは比較にならないのですが、映画でここまでハリボテ感のあるCGは近年久しぶりに見ました。
ただ家のテレビやパソコンで見るのであれば、このハリボテ感も軽減されるかと思いますので、abcファンはDVDで買うのがオススメです。

中盤から後半にかけてのC'est la vieパートは高橋メアリージュンの圧倒的存在感で、急激に学芸会臭が無くなります、広瀬アリスが問題にならないレベルです、というかキャバレーでの広瀬アリスが衣装のせいも有って太ましすぎるので余計かもしれません。

そしてラスト、私はスタッフロールを見て爆笑しかけたところ、周囲の方々が真剣に涙ぐんでいるのを見て口をつぐみましたが
ストーリー的にあれだけLを振り回した平岡祐太の役……劇団青年
名前すらない。
いや、わかるけど、結構重要な役なのに。
何故皆吹き出さずに泣けるのか。

あと高畑ショックで代役となった成田凌のパン屋主人は、成田凌がイケメンな分最後の酷薄さが弱くなってしまったので、
ある意味元の高畑の演技は下手だけれども特徴だった無生物のような目の方が合っていたかもしれません。

面白かったのは、Lの戻るべき場所であり人だったOVESという名称の言葉遊びもこの映画では重要なポイントなので、先程の劇団青年や元銀行員やパン屋主人のような「Lの上を通り過ぎただけの男」には役所だけで名前すら与えられないのだけれど、
高橋のアンナや古畑のリノだけでなく何故かmikakoの役にもマリーと名が付いていたところ、キャバレーの女だけでも良かっただろうに。

なんにせよ、役者の力不足や、CGの技術不足などいろいろなところが足りないにしても、それでもabcのファンには良い作品たり得ると思いますので、こういう試みはもっとやっていただきたいなと。

チェイン・皇