「娘を演じる」話す犬を、放す おとさんさんの映画レビュー(感想・評価)
娘を演じる
有楽町スバル座にて鑑賞。
売れない女優レイコのもとに映画出演の依頼が舞い込むも、時を同じくして母のユキエがレビー小体型認知症を発症。レイコは女優業と介護の二足の草鞋を履くことになる。
映画のリハーサルで演じる喜びを再確認しながら、私生活では娘の幻視を見るユキエのために、本物の娘を演じる。母娘の関係が少しずつ更新されていくのが面白い。これまでとの違いを受容しながら、意識的に家族の中の役割を演じようとすることは、介護の心構えの本質をついている気もした。
監督の実体験に基づいた作品で、実生活での感情の波を丁寧に再現しようとしている印象を受けた。故にお涙頂戴の展開はなく、誇張した笑いもない。ふとした瞬間にふわっと表れるおかしさが、映画を粋なものにしている。
様々な解釈があるだろうが、おそらくレイコは、二足の草鞋を履いて生きていくと思う。
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